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「ひな、私を許して欲しいだなんて言わない」
「…………」
「だがこれ以上はもうやめてくれ!」
普段は冷静でどっしりと構えているアルが必死だ。
そのくらいひなの事思ってて、ひなを止めたいんだね。
「アルキメディス、あなたですらそこまでしか分からないなんて……」
「どういう事だ?」
んん?
そこまでしか分からないって。
他にもまだ何かあるの……?
おや。
セフィリアがなんか真剣な顔してる。
どうしたんだろ。
「ね、ねえセフィリア」
「…………」
「セフィリア……?」
「えっ? はい、なんでしょう?」
「真剣な顔して考えていたから、何か分かったかな思って聞いたんだけども」
「すみません、何も……」
多分、考えていた途中なのかも?
……よくよく考えたら分かるわけないよね。
アルが闇を生み出したなんて、想像もつかなかったもの。
「もう何も語る事はないよ。分からないのならそれでもいい。みんな闇に飲みこまれよう」
「くそ……、やるしかないのか」
うう、結局ひなと戦うことになるなんて。
あまり気が乗らないけども……。
エレナ……。
少しずつ闇に飲みこまれていってる。
このまま話を続けても、ひなは止まらない。
止める事も出来なさい。
…………。
だったら……。
…………。
あたし、エレナを救うんだ!
もうなりふり構ってられない、ひなを倒してでも救ってみせる!!
「勇者の螺旋槍!!」
これで一気にひなも闇の核も貫いて……!
「ゆき、あなたの事はずっと見てたよ」
「…………」
「あなたなら私の事やフラジリーヌの事、理解してくれると思ったのに」
「…………」
「がっかりだよ。本当に……」
恋人を奪われた、その憎しみを晴らしたい気持ち。
あたしだってエレナ取られて必死だから、ひなの思いが分かると思うんだけども。
でもやっぱりこんなの間違ってる!
「…………」
んんっ!
ひなが居なくなった!!
これってもしかして、ミレーユと一緒に戦った時と同じ!
「アル気をつけて! すごい速さで攻撃してくる!」
だとしたら……。
結界を自分で張って攻撃に備えているセフィリアはいいけども、何も知らないアルが危ない!




