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まさかの発言!
アルが闇を生み出した張本人だなんて!
「ど、どういう事……」
「まあ、戸惑うのも納得だな」
そりゃそうだよ!
じゃあひなが闇を操ってるのはどういう意味なの!
「ひな、話をしたいんだが時間をくれるか」
「……話せばわかってくれるかもしれない。いいよ」
「魔王との戦いの後、私に待っていたのは英雄としての名誉と、”国家魔法首席官”という地位だった」
なんかすごそうな名前。
きっと偉いんだろうね。
世界を救った勇者の仲間だから、当然の待遇といえばそうかもだけど。
「だが、私はそんなものどうでもよかった」
人気を離れて暮らしている感じ、人付き合い好きじゃないのかな?
あたしと気が合いそう……かも。
いや、人付き合い苦手同士だからやっぱ駄目かな。
「ひなと出会うまで、私の事を奇人変人として腫れ物のように扱ってたやつらが、途端に手のひらを返してくるんだ。そんなの信用ならんだろう?」
これもあるあるだよね……。
あたしは実際にそんな思いしたことないけども、実際にされたらいやになるだろうなぁ。
「それよりも、私にはやるべき事があった。死んだひなの復活だ。私もひなが好きだ。あんな結末を受け入れるなんて出来なかった」
みんなひなが好きだった。
本当に……、好きだったんだね。
「私は大魔法使いだ。最高の魔法使いだ。何でも出来る、何だって出来る。現に誰の力も借りず、魔王討伐からさほど時を置かずに魔法は完成し、ひなは蘇った」
やっぱアルはすごい魔法使いだったんだ。
死んだ人生き返らせるなんて、そんなほいほいと出来るものじゃないよ……。
「だが、その魔法には思いもしなかった効果があった」
ん?
なんだろう。
「魔法を使うとひなは蘇った。戻ってきた。……だが、それと同時に闇も現れて復活したひなを取り込んだ」
ど、どういうこと。
どうして闇まで来るの……?
「その時のひなの顔は……、私の知るひなではなかった」
えっ。
じゃあ原因って。
「闇がひなの復讐心を駆り立てたの?」
「わからない……」
「…………」
「ひなを取り込んだ闇は、まるで意思を得たかのように膨れあがり世界を飲みこんでいった」
「…………」
「あとは、この世界に伝わっている話通りだ。セレラインが伝説の剣と自らを犠牲に結界を作った」
ひなと一緒に現れた闇。
そしてそれは今は、ひなと一緒に世界を飲みこもうとしている。
漠然と世界の敵という認識しかなかったけど……。
「ねえ、闇って何なの?」
うん、そもそも何だろう?
「分からない。今まで研究してきたが……私にも分からなかった」
結局アルにも分からないんだね。
でも話を聞く感じ、なんか生き物のような感じもしなくないけども……。
あとなんだろう。
何かが引っかかってるような、何かを忘れているような……。




