42-7
闇の中、氷のトンネルを進んでいき……。
「待ってたよ」
「ひな!」
目の前には魔法少女姿のひなと、ひなの背後には真っ黒な球体。
たぶん、あれが闇の核の本体……なのかな。
見ているとなんだが寒気がするよ。
「エレナ!!」
そしてその核から上半身半分だけだしたまま、目を閉じて動かずにいるエレナがいた。
「あと1日あったら、この人も私になるのにね」
「そんな事させない!!」
エレナを救う。
……ひなの思い通りにはさせない!
「勇者の――」
「ちょっと待て」
「アル! どうして止めるの!」
「話をさせてくれ」
ちょ、ちょっと!
これから戦うぞって時に割りこまれちゃった!!
話って今更何を……。
「ひな」
「今更話す事なんてないよね?」
ほら、ひなも同じことを言ってる。
もう話が通じる相手じゃないって分かってるのに。
「すまなかった。私があの時、ソフィアの凶行を止めていればこうはならなかった」
「…………」
「あの後、都へ戻ってセレラインとふたりで話したんだ。ソフィアは間違っているとな」
「だから何? 許せって言うの?」
「別に許してほしいわけじゃない。気が済むなら命だってくれてやる」
「他の体に移ってまで生きてきたアルが、言える台詞じゃないと思うけど?」
アルは他の体に魂を移して生きてきた。
あれ?
そうなると、もしかして学園長も同じ事を……?
だとしたら、あの見た目であの年齢は納得がいくかも。
エレナの場合は特例みたいだけど、基本的には記憶を上書きしてしまうみたいだからね。
ん?
じゃあひなはどうしてここにいるんだろ。
ソフィア学園長にやられたはずなのに。
「あ、あの!」
「なんだ?」
「ひなってどうして生きているんでしょう? ソフィア学園長に殺されたはずなのに」
「そうか、まだ言ってなかったか」
おお!
いよいよ語られる!
「……闇を生み出したのは私だ」
えっ。
それ、どういうこと……。




