42-5
闇の中、氷のトンネルを進んでいき。
そこであたしが見たものは……。
「う、うそ……」
「よう」
なんと、囚われたはずのエレナだった。
「エレナ! 無事だったの?」
「まあな。俺がそう簡単にくたばるかよ」
よかった!
生きててくれた!
「エレナー!」
「ちょっと待った!!」
うわあっ!
折角ハグしようとしたのにっ!
もー、アルったら何なの!
「こんな安っぽい罠にはまるな」
「えっ?」
「おかしいだろ、エレナの体はここなんだぞ?」
う、確かに。
じゃあ、このエレナは……?
「ゆきどうした? 様子が変だぞ?」
「いやだって、あなた偽物だよね?」
「はぁ? 俺が偽物?」
「うん」
「おいおい何を迷っているんだ? 俺こそ本物だぞ?」
えっ。
どういうこと。
「今まで一緒にいたそいつが偽物だろ? 気づいてなかったのか?」
うそ……。
そうなると、アルって言ってたこの人が……。
「そんな古典的な罠にひっかかるな。そいつが偽物だ」
「俺が本物で、そいつが偽物だ」
ちょ、ちょっと!!
何が正しくて何が嘘なの!!
わからないよー!
「何迷ってるんだ?」
「おいおい、俺が本物だぞ」
「うーん……」
えっと、どっちが正しいんだろ。
こういうのって、あたしとエレナしか知らない事を聞けばいいんだっけか。
うーんうーん……。
「片方は本物のエレナさんを自称し、片方はエレナさんとひとつになったアルさんを自称している。単純な真贋判定ではないので、ゆきさんにしか知りえない情報を聞いて調べるのも難しそうですね……」
そ、そうなんだよ!!
だからどうやって調べればいいのかわからなくってー!
「さあ、俺もこうやって戻ってきたわけだし、一旦引いて体勢を整えるぞ」
「惑わされるな、このまま進むべきだ」
うぅ、逆の事言ってる……。
どっちが正しいんだろ。
「私は引く方に賛成ですね。他の魔法少女の意見も聞けますし、そこでどちらが嘘をついているのか確認すればよいかと」
「う、うーん」
「それに、このままどちらかが偽物で先に進んだ場合、ひなさんとの決戦で確実に不利になります」
確かにセフィリアの言う通りなのかな。
拠点に戻れば他の強い魔法少女たくさんいるし……。
「おい! 惑わされるな!!」
「さあ、こいつのいう事はほっておいて戻ろうぜ」
「う、うん……」
このまま進んでひなと出会って、偽物が暴れて邪魔されるって事もあり得るし……。
やっぱ、ここは引くのが正解だよね!
「……ここは引こう」
「お、おい!」
「だなー」
エレナ(中身はアル)?はすごく不満そうだけども、仕方がないよね。




