42-4
エレナ視点
闇の中、ひなが居る場所にて。
「おい」
まったく、とんでもない事になってしまったな……。
「何?」
「何?じゃねえぞ。俺をどうするつもりだ?」
ゆきのアニメ上映会が終わって、協力を募ったらそれに全員が賛同した。
そこまではよかったんだが……。
「殺すつもりか?」
だが、俺は突然会場に乱入してきたひなによって連れていかれてしまった。
自分でも詳しくはわからないが、かなり危ない状態だってのはなんとなーく分る。
「そうしたいけど、もう少し時間がかかりそう」
そしてこれもまたどういうわけか、ひなは俺を捕らえたまま何もせずにいる。
チャンス!といいたいところだが……、俺も動けねえ。
なんだこのドロドロの闇は、もがいても吸い付いてきやがる……。
クソっ。
ゆきの足手まといじゃないか……。
これじゃあ魔法力をあげた意味がねえ。
…………。
…………。
それにしても、時間の感覚がまるで分らん。
どのくらい経った?
アルから引き継いだ力ももってあと数日ってところだが……。
…………。
…………。
ひな……。
見た目はゆきと同じような感じなのに。
こいつを駆り立てるものはなんだ?
…………。
試しに、聞いてみるか?
「なあ」
「何?」
「どうしてこんな事するんだ? 憎いのはソフィアだけだろ?」
「そうよ。一番許せないのは、フラジリーヌを殺したソフィアよ」
「だったら、別に世界を巻き込む理由にはならんだろ?」
そうなんだよ。
恋人を殺されたその復讐をしたいってのは、まぁわからんでもない。
だけどな、世界全部を巻き込むのはちょっとやりすぎじゃないのか?
「ソフィアは生きている」
「あー……」
確かに学園長として今も居るな。
だが100歳以上で、しかも見た目幼女だぞ?
あぁ、そういうことか。
アルが俺にしたように、学園長も他の体を乗っ取って生きているってわけか。
つまり……。
「ソフィア”候補”全員を殺すってことか」
「そうよ。あいつの野望は阻止しないといけない」
今の学園長を倒しても、別の体に移っていくってわけか。
とんでもないな……。
「それに、私はフラジリーヌの叶えたかった夢を叶えたい」
おいおい。
新しい事実発覚したぞ……。
フラジリーヌって魔王だよな?
魔王の叶えたかった夢ってなんだ?
「で、それはなんだ?」
「あなたにそれを答える理由はない」
ま、そうなるよな。
しかも俺は囚われの身。
うーむ、これ以上は聞けそうにないか。
「む、闇の中に入ろうとしている。この雰囲気は……ゆき」
おお!
来ると信じてたぞ!
「ううっ! この雰囲気……!!」
お、おい。
急にひなの様子がおかしいぞ?
なんだか怒っているような……。
俺なにかまずい事言ったか……?
「……エレナ」
「なんだよ」
「いい事思いついちゃった」
「なんなんだよ……」
すげえ悪そうな感じでにやついている。
どうせロクでもない事なんだろうが……。
ゆき!
無事でいてくれ……!




