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こうしてあたしたちは、ヘイルシスターズが作ってくれた氷のトンネルを抜けて、ひなのところへ一直線に向かう事になった。
闇の中、氷のトンネル内にて。
「…………」
「…………」
あたし含め、みんな道中を黙々と歩いていく。
意外にも拠点に居た魔法少女たちを連れては行かなかった。
ミレーユとか、るりとか、強い人居たしお願いすればいいのにって思ったけども、氷のトンネルがそこまで広くないってのと、闇が攻めてくるので残りは迎撃役を務めた方がいいって話らしい。
「…………」
「…………」
この先に、ひながいる。
そしてエレナもいる。
「…………」
「…………」
いよいよ最終決戦かぁ……。
あたし足手まといにならなきゃいいけども。
「……おかしいな」
「そうですね」
な、なに!
2人ともそろってどうしちゃったの!
「ゆきさん、先遣隊が向かったとの事ですよね?」
「うん。……あっ、合流出来てない?」
「ええ」
「あらかじめ作戦は伝えていた。だから氷の魔法に巻き込まれたとは思えないが……」
そういわれれば。
しかも闇の中で合流するって言ってたよね?
もしかして……。
「やられちゃった?」
「いや、ランクの高い魔法少女を選んだ。余程の事がない限りそれはない」
「で、でも、いないんじゃ!」
「うーむ」
前に闇の中へ行った事あるけども、何度も危ない目にあった。
だから、ひょっとしたら最悪のシナリオに……。
「…………」
アルはあごに手をあて、視線を落としている。
何を考えているんだろ。
「時間がない。今は先遣隊よりも先を急ごう」
って、考えた結果がそれ!
ちょっと!
「そんな、見捨てるなんて!」
「別に見捨てるわけじゃないぞ」
「いやだって、このまま進むって……」
「ここで私達が作戦失敗すれば、この世界は闇に飲みこまれる。逆に成功したら闇が晴れるはずだ」
「う、うん」
「捜索はそれからでも遅くないだろ?」
「……うん」
「私の事、むごいと思うか?」
「……わからないよ」
「もしもそう思うなら、さっさとひなを救え。それは今、お前が出来る事だ」
そ、そうだよね。
ひなとエレナを救えば、この世界だって救われる。
闇の中に消えた魔法少女だって、きっと見つかる戻ってくる。
そうだ。
今はひなとエレナを救う事を考えるんだ。
「さあ、行こう」
「はい」
「ええ」
あたしたちは、止めていた足を動かして再び闇の奥へと向かった。




