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あたしは街の人たちに別れを告げ、光の差す方へと向かった。
「エステレラさん、お待ちしておりました!」
でも、いきなり闇の中へ突撃!ってわけではなく。
まずは近くの拠点で他の魔法少女と合流してからみたい。
アルがいろいろと準備してくれてたんだから、やっぱ頼もしいよなあ。
それで、光が差している場所に一番近い拠点に到着したわけだけども……。
「うわあっ、すごいね」
そこに集まってた魔法少女がすごい。
ヘイルシスターズのふたり、ミレーユ率いるチームゴシック、るりが居るチームプリズム、他にも魔法少女チャンピオンシップに出てた人とか、なんかもうオールスターって感じ。
「準備はどうだ?」
「はい、いつでも行けます。王都では大変でしたね」
「まあな。ここが無事だったのは幸いだ」
うーん。
なんかさまになってる。
見た目はエレナだし、他の人もエレナだって事疑ってなさそうなのに。
「じゃあ早速始める」
「はい!」
「ゆき、準備はいいか?」
「えっ? う、うん」
始める……ってなんだろ。
何か起こるのかな?
ああ、今すぐに闇の中へ向かうって意味だね。
……でも、どうやって行くんだろ?
また闇の中で動ける魔法使うのかな?
というわけで、拠点の近く。
闇と結界の境界へと向かった。
「頼む」
「ミィナ、いくよぉ」
「うにに」
そこで待ってたのはフロリアンナ先生とティエラ!
あの人たちも一緒に戦うのかな?
「あれが見れるのか」
「なんて幸運」
「心強い」
えっ、何がはじまるの……?
あれってなんだろう。
んん?
ヘイルシスターズのふたりが杖を出すと、それをクロスさせて……。
「氷神の名の下に命ずる」
「氷神の名の下に求める」
おお!
なんか杖の先に冷気が集まっていってる!
なんかこう、大魔法って感じだ……。
「我、世界を飲みこむ闇を凍てつく獄へと誘わん」
「我、世界を飲みこむ闇を冷たき檻へと閉ざさん」
しかもその冷気がだんだん大きくなっていって……。
「闇を払う者達へ道を!」
「闇を払う者達へ未来を!」
詠唱が終わって、ふたりが杖を天高く振り上げると……。
「オーバーアブソリュート!!」
一気にそれを振りかざした!
うわあ!
闇が一瞬で凍っていって、しかもトンネル状に穴まで出来てる!
なるほど……、この中を通っていけばいいってわけね。
それにしてもすごいなぁ、一瞬でこんなこと出来るなんて。
「ゆき、物質の温度を下げるとどうなると思う?」
「液体から……固体になるんだっけかな」
前世で習った事ある!
魔法が使えても、きっとそういうのは同じなんだろうなぁ。
「じゃあさらに下げると?」
「えっ? う、うーん」
さらに下げるって。
確か絶対零度以下にはならないんだっけかな?
ど、どうなるんだろ……。
「物質の時間が止まるんだ。ただ、それをするには極限を超えなければならない」
「つまり……?」
「あのふたりの力を合わせれば、それが可能だって事だ。つまり形ない闇ですら凍結させられる」
「おお!」
「これなら、闇の中へ簡単に入れるだろう?」
なんだかよく分からないけど、すごいっては分かった!
よーし!
これでひなまで一直線でいけるね!
しかも氷がトンネル状になってるおかげで、他の妨害もなさそう。
「…………」
あれ?
セフィリアどうしたんだろ?
「ん? どうかしましたか?」
「いや、ぼうっとしてたから見てた」
「うふふ、私は大丈夫ですよ」
なんか遠い世界に行ってた感じだったけども……。
まあ、本人が大丈夫って言うなら大丈夫かな!




