42-1
エレナが連れ去られてから5日目。
「もう今日が限界だ。行くぞ」
「はい」
妨害があったせいで、遠征の準備はだいたい7割くらいって感じ。
みんな頑張ってくれたけども……、くやしいなぁ。
「あの……、よろしいでしょうか」
「どうした? セフィリア」
「まだ準備も満足に出来ておりませんし、もうちょっと待った方がよいかと思います」
「……聞こえなかったのか? これ以上は待てないぞ」
セフィリアが慎重になるのも分かるよ。
でも、あたしはエレナを見捨てるなんて出来ないよ。
だから危険でも行くしかない。
みんなが嫌だっていうなら、最悪あたしだけでも……。
「それに、準備なら私が進めておいた」
「お?」
「先遣隊を出しておいたからな」
「おお!」
「闇の中で合流する事になっている」
アルいつの間に!
さすがは最強の魔法使い、やっぱ段取りいい!
それにしても、よくやってくれる人いたねえ。
かなりの実力者なのかも?
「教祖様」
ん?
教徒の人たちだ、どうしたんだろ。
「巫女様と共に、無事に帰ってきてください。我々は待っています」
「うん」
みんな……。
見送りに来てくれたんだね……。
「ゆきちゃんが居なくなるなんてありえないんだからね? 戻ってこなきゃ嫌だよ?」
「う、うん」
しかも泣きそうになってる。
そんなに名残惜しいだなんて!
あたしこんな愛されキャラだっけ……?
でも、嬉しい。
「いろいろあったが、今は貴殿の無事を心から祈っている。待っているぞ。魔法少女エステレラ」
「はい」
セレライン卿……。
貴族の人たちまで……。
「じゃあ、行ってきます」
みんな待ってて。
あたしは必ず帰ってくるから。
エレナと……、ひなとみんなで!




