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ウィーンはパームカフをつけた手を大きくかざす。
すると無数の光弾がウィーンの周囲に生成され、それらは全てエレナへと向かっていった。
「あぶない!!」
いてもたってもいられなかった。
エレナが傷つく事が耐えられなかった、また悔しい思いをするのがどうしても我慢できなかった。
あたしはエレナの盾になるように間に入り、大きく手を伸ばした。
無数の光弾はあたしへと直撃し、あたしはこのままぼろぼろになって戦線離脱……、悪ければ再起不能になると思っていた。
やがて夕立の様などしゃぶりの猛攻はおさまり、周囲は静かになっていく。
そこには倒れているあたしとエレナが居る……はずだったが。
「ふん、たわいもない」
「ウィーンさん、まだ終わってませんよ」
「なにっ!」
あたしは傷一つなかった。
もちろん、エレナも無事だ。
それどころじゃない、なぜか学生服の乱れ一つない。
この時、あたしは唯一の対抗手段を思い出した。
あたしの魔法。
それは、魔法を防御する力。
やらなきゃ駄目って思ってたから攻撃ばかり気にしてたけども、まさかここで役立つなんて。
しかも、この10日であたしの魔法力があがった事で、防御力も上がったのかもしれない。
「ゆ、ゆき……」
「やだよ。このままエレナが負けちゃうなんて……」
でも今は防御力とか魔法力とかそんなんよりも、エレナが無事でよかった。
ほんとうに、ほんとうによかった……。
「ほう、ウィーンさんのあの一撃をもろに受けて傷一つ無いとは……」
「も、申し訳ございません!」
ミカエルは驚いていた。
相手も、あの攻撃で終わるという確信があったんだろうね。
というか、入学したての頃のあたしなら、さすがに無理だったかも……。
学園長の個別授業に感謝しないと!
「わたくしも参戦しましょう」
ついに真打登場ってやつだね!
すごく不安だけども、今はエレナを守らないと。
あたしの魔法防御力と、30万超えの魔法力、どっちが強いか勝負だ!




