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5-4

 あたしとエレナ、ミカエルとウィーンはそれぞれ戦うため中央へと向かっていく。


「ミカエル様、どうされますか? 戦いますか?」

「何もしなくて点数に響くのは嫌ですが、……この二人ならわたくしが出る必要はなさそうですね」

「おっしゃる通りです。すぐに終わらせます」

 まあ!

 何このお嬢様!

 出る必要がないとか余裕ぶっこいちゃって!

 やっぱむかつく……嫌なひとだ!


「よーう! 入学ん時はよくもやってくれたな」

「ふん、何のことだ?」

「なんだ? 忘れたのか?」

「いちいち覚えておらん」

 エレナの杖を持つ手が震えている。

 あの時の事を少しも忘れていなかったんだろうな。


 でもそんなエレナの怒りとは逆に、ウィーンは涼しい顔のままだ。

 それもまた腹立つ。

 今ならエレナの気持ちも分かるよ!


「模擬戦開始してください」

 あたし達は倒すべき宿敵。

 向こうは、通過して当然の相手。

 お互いに相反する気持ちを胸に抱いたまま、戦いの始まりを告げる合図がフロリアンナ先生から発せられると……。


「なら思い出させてやるよ!!!」

 エレナは猛然と走りだし、光り輝く杖をウィーンの方へと向ける。


「おらおらおら!!!」

 杖からは無数の光弾がウィーンめがけて飛んでいき、ウィーンは瞬く間に飲みこまれてしまう……はずだった。


「ミカエル様。彼女の魔法力は今どの程度でしょうか?」

「20000を少し超える程度ですね」

「雑魚ではなさそうですね。……我々の敵ではありませんが」

 ウィーンはミカエルと会話しながらも、エレナの繰り出す光弾を全て、金属製のパームカフがついた手で振り払っていく。


「てめえ! 話しながら相手してんじゃねえ!!」

 そっか!

 エレナの無数の光弾攻撃はあくまで目くらましで、本命は杖に魔法力を溜めてそれをぶつける攻撃なんだ!

 この間合いならきっと当たるよ!

 そう思った矢先……。


「ふん!」

 ウィーンはエレナの杖を左手を使って巧みに受け流すと、パームカフのついている方の手をぐっと握り、エレナの腹部に正拳突きをした。


 ウィーンの拳はエレナの腹部へとめりこむと、エレナは後方へ大きく吹き飛ばされてしまう。


 あああ!

 まともに受けちゃったよ……。

 ど、どうしよう、どうしよう!


「ぐっ……!」

 だけどエレナはどうにか着地に成功し、かつ立ち続ける事が出来た。


「思い出したぞ、舞踏会の時の奴か」

「はぁ、はぁ……」

「少しは成長したみたいだな」

「……お陰様でな」

「どうやって防いだ?」

「体に当たる直前、杖に溜めていた魔法力を体に移動させて盾代わりにしたのさ」

「なるほど器用だ。だが、体力は消耗している」

「う、うるせえ! 俺はまだいけるぞ!」

 強気な事は言ってるけれども、エレナの膝はがくがくと震えている。

 どうみても立っているのが精いっぱいだ。

 どうしよう、このままじゃ舞踏会の時の二の舞だよ!

 何かあたしに出来る事……、出来る事は……。


「魔法力8000まで落ちました。ウィーンさん、とどめを」

「かしこまりました」

 ウィーンはミカエルの方を向いて一つ頭をさげると、ゆっくりとこちらへ迫っていく。

 まずいよ!

 このままじゃあ!!

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