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こうして内容も決まったあたしは、エレナやセフィリアは勿論のこと、ハルフリーダことハルちゃんやパトリシアちゃんやブランディちゃんにも協力して貰ってアニメ制作にとりかかった。
「こんな感じですかぁ(・・*)」
「うんうん、でももうちょっとこのキャラをこうやって動かした方がいいかなぁ」
「なるほどっ! 了解です(・o・)」
アニメ制作は順調に進んでいく。
「おーいゆき、この風景でいいのか?」
「いいね! じゃあこのままで!」
「おう」
もちろん、あたしひとりじゃ絶対に出来なかった。
「セフィリア、音楽隊の人たちにここはこんな感じって伝えてー」
「はい。ゆきさん張り切ってますね」
「もちろんだよ! 一世一代の大仕事だからね!!」
「ふふ、頑張りましょう」
みんなが居たから出来た。
「わ、わたしはっ……」
「ブランディちゃん、もうちょっと演技は自然にやったほうがいいかも?」
「///」
そう、みんなが居たからやれたんだ……。
ありがとう、ほんとみんなのおかげだよ。
そんなみんなへの感謝と、作品への確実な手ごたえを感じながら。
みんなと一緒に居る、充実な日々は流れていき。
…………。
…………。
…………。
…………。
それからしばらくの時が流れ……。
聖百合教本部、幹部しか入れない秘密の間にて。
最終確認、制作にかかわった人たちのみで観る完成版の試写会が行われた。
「…………」
「…………」
全員が静かに完成した作品を観ていた。
「…………」
「…………」
そして、アニメが終わると製作者全員から拍手が沸き上がった。
「なんだこれ! すげえよ!」
「これは……、なんでしょう、ぞくぞくしますね」
「わあ……、これがアニメなんですね@@」
「教祖様! これはいいですね!! 感動しました!!」
「すごい……///」
それと同時に、みんなから賛美の声が次々とあたしに投げかけられた。
「やっぱゆきすげえな!」
「本当、こんな手法をよく思いつきましたね」
なるほど、アニメを知らない人がアニメを見るとこういうリアクションになるんだね。
ほおほお……。
「ありがとう」
そうじゃあないんだ。
アニメはひとりじゃ作るのすごく厳しい。
みんなが居たから出来たんだよ、だからあたしがすごいんじゃない。
かかわった人達全員がすごいんだよ。
だから……。
「みんなのおかげだよ。本当にありがとう」
あたしはおもいきり頭を下げて、心から感謝の意を伝えた。
あ、あれ。
なんか悲しくないのに涙が出てきちゃった。
胸もすごくいっぱいだし、なんだろうこの感覚。
「あとは発表するだけだな!」
「そうですね」
うんうん、そうだね。
あとはこの作品をみんなに見て貰うだけ。
どこかいい場所ないかなぁ。
「それなのですが、とっておきの場所を借りる事が出来ました」
「おお!」
これで発表する場所も出来た!
なんかもう……、本当みんなありがとうございます……。
商人ギルドの人が”とっておきの場所”っていうくらいだから、これは期待していいのかな!
そういえば、作ってるときは無我夢中で今まで気づかなかったけども。
あたしの作家活動に必ず参加してた学園長が一切顔出さなかった。
そりゃあ、必要最小限の人にしか伝えてないけども、商人ギルドの人には言ってたから伝わってたと思ったのに。
どうしたんだろ?




