40-1
魔法少女チャンピオンシップが終わってから、しばらく経った後。
聖百合教本部、礼拝堂にて。
「教祖様~」
「教祖様~」
「教祖様~」
あたしの眼下には、たくさんの教徒の人が膝をつき頭を下げている。
それは、いつもの光景であり、見慣れた風景。
戦いを勝ち抜き、1位になったあたしを待っていたのは、今まで以上に熱狂的な教徒だった。
「…………」
どうやら都の人の大半が、聖百合教に入ったみたい。
もう身分や性別や年齢、さらに魔法少女であるかそうでないかも関係ない。
「教祖様~」
「教祖様~」
「教祖様~」
だから、待遇もほんとう信じられなくって。
なんかこう、至れり尽くせりというか。
教祖というか、神様みたいな感じになっちゃってるわけで……。
「…………」
そ、そりゃあ、悪い気分じゃないけども!
でも、なんだろうこれ。
あたしが望んだのって……、こういうのじゃない気がする。
ま、まぁ今は現状の待遇をどうこう言うときではなく。
むしろ今だからこそ、やるべき事があって。
それは……。
日課のお祈りが終わり、あたしは私室へと戻った。
そこでエレナとセフィリアを呼ぶと……。
「ふたりに手伝って欲しいんだ」
「どうした?」
「はい、なんでしょうか?」
あたしが教祖になっても、偉くなってもいつも変わらない。
それがなんか嬉しい。
このふたりになら話せる。
ひなのところへ行く前に、あたしがずっとしたかった事。
「あたし、アニメつくりたい」
そう、アニメ!
あたしのオリジナル作品のアニメ化!!
いやあー!
ずっと夢だったんだよねー!
前世じゃ人気さーっぱりだったから、そんな話一切かすりもしなかったけども。
だ・け・ど!
ここは違う!
あたしの作品は社会現象になってる!
つまり、やるっきゃないよねっ!!
うんうん。
「あにめ……? なんだそれ食えるのか?」
「聞いた事がありませんが、どのようなものでしょう」
う、うーん。
先走っていっちゃったけど、この世界の人がアニメなんて分かるわけないよね……。
食べられは……しないかな。うん。
「えっとね、絵がぬるぬる動いて、動きに合わせて声とか音とかもつくの!」
「パラパラ漫画じゃ駄目なのか?」
「もっと凄いんだよ!」
「まあ、それはいいですね」
「それで、アニメ作りたいんだけども……」
「おう、俺で良ければ手伝うぞ」
「私もお手伝いしますね、うふふ」
おお、快諾してくれたよ!
やっぱ持つべきものはエレナとセフィリアだよねっ!
ふっふっふ……。
ならいよいよやるっきゃない。
アニメ化出来る算段はある、あとは……。




