39-10
セフィリア視点
聖百合教本部、入り口へ向かう廊下にて。
「…………」
今のゆきさん、正直見てられません。
「…………」
それだけエレナさんを思っていたという事……の証明でもありますが。
「…………」
そのエレナさんは……いない。
「…………」
このままじゃ、ゆきさんは駄目になってしまう。
そうなる前に、私が……!
MA学園、執務室にて。
「お待ちしておりました」
ゆきさんを救ってみせる。
たとえ、悪魔に魂を売っても……。
私がどうなろうとも、エレナさんの代わりに!
……ですが。
その前に聞かないといけない事がありますね。
「エレナさんが行方不明なのはご存じでしょうか」
今回の騒動、学園長が裏で手を引いているのであれば……。
そもそも頼るべき相手を間違っている事になる。
「ええ、私も個人的な情報網を使って探しておりますが、見つかってません」
「その様子だと、学園長が何かしたわけではなさそうですね」
「セフィリアさん、確かに私はゆきさんに相応しいのはあなたとおっしゃいましたが、こんな直接的な方法を取ればゆきさんが傷つくのは明白でしょう?」
ひなさんと魔王の命を奪った張本人が何を言っているのやら……。
と思うところですが、この様子だと学園長は本当に何も関わって無さそうですね。
「お話は以上ですか?」
「…………」
だったら、私がやる事はひとつ。
「私は、ゆきさんを救いたい」
「いいでしょう。さあ、こちらへ」
学園長の表情が少し変わったような気がしますが……。
今はそんな事よりも、この人の力を借りてゆきさんを……。
そう思い、私は学園長の後を追っていった。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
「!!!」
あ、あれ……、私は眠っていた?
ここは……?
学園長の執務室?
「…………」
誰も居ない……?
学園長の姿も……ない?
うぅ。
何も思い出せない。
どうなってしまったの?
と、とりあえず起き上がらないと。
「…………」
そうなると、私はこの部屋でずっと眠っていた?
いや、そんなわけがない。
きっと学園長はどこか別の場所にいるはず。
……それにしても。
正直何をされたのか、まるで分からない。
特別変わった様子もなさそうですし……。
服装だって、ここへ来た時の聖百合教の巫女の格好のままですね。
「…………」
結局、何だったのでしょうか……。
分からない事だらけです。
本当にこれでゆきさんを救えるのでしょうか?




