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実技試験当日。
学生たちは、試験を受けるために教室ではなく別の広間へと移動する。
そして広場へと到着したあたしは、フロリアンナ先生と学園長が居る壇上の方を向いた。
「うにぅ……。今日から実技試験を始めます」
いよいよ始まるんだね。
さてさて、どんな内容か……。
「試験は魔法による2対2の模擬戦を行います。組み合わせはこちらで決めていき、全員が当たるようにしますのでご安心を」
入学で舞踏会なんてやるくらいだから、穏便かつ平和的解決ではないと思ってた。
だから発表されても慌てたり驚いたりすることもないけれど……。
「ルールは、4人の誰かの魔法力が尽きるか戦闘不能になった時点で終了です」
うーん、イメージトレーニングの成果は筆記試験で出てたのは分かった。
でもやっぱり攻撃魔法使える気がしない。
「あと過度な攻撃や危険な行為も減点になりますのでご注意を」
折角エレナが組んでくれたし、足手まといだけにはなりたくないな。
”ゆきが欲しい”なんて……。
きゃーもう!
何意識してるの!
はぁ……。
確かにエレナって性格男勝りだけど、よくみたら可愛いからなぁ……。
「この試合は、回復魔法専門の人たちも見ていますので、頑張ってくださいZzz」
そういえば、遠くの方に見た事ない人がいる。
回復魔法専門って事は、魔法少女の中でも支援向けの人らかな?
うーん、ヒーラーってだけあってなんかみんな大人しそうというか、おっとり系が多い感じだ。
「全員ペアになっているみたいですし、それでは早速始めましょう。第1試合は――」
どうやら余っている人とかはいないみたいだ。
フロリアンナ先生は、最初に戦うペア2組を呼び出した。
こうして模擬戦は始まった。
みんなの戦いを見ていて分かった事は、舞踏会の時よりも例外なくレベルアップしているという事だった。
戦いは次々とペアを変えて続いていく。
模擬戦が進行すると共に、あたしの心の中にある不安は大きく膨れていった。
何故なら、このままじゃエレナに迷惑をかけてしまうと思ったからだ。
「大丈夫だ。俺とゆきが居れば負けねえよ」
あたしの不安を見抜いたのか、隣に居たエレナはあたしの手をぎゅっと握ってきた。
やぁんっ。
エレナの手、とってもあったかい。
うううう、すごいどきどきしてる……。
な、なんか今日のエレナ積極的すぎやしない!?
それにあたしもなんか変だよ。
どうしてこんなにも気持ちが昂るの?
なにか変なものでも食べたかな……。
「次の模擬戦第5試合、ゆきエレナペアとミカエルウィーンペア、前へ」
い、いよいよあたし達の出番……って。
ちょ、ちょっと!
いきなり最強ペアを相手するの!?
そんなぁ~!




