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「その心当たりは具体的に何なの?」
「あたしが、闇に取り込まれた人を百合バーストで救ったように、闇の核にも同じ作戦が有効かなと思った」
前に闇に取り込まれた人が、あたしとキスしたら元に戻った。
ひなが闇を生み出す張本人なら、同じ手が通じるかもしれない。
それに、闇を払えるのは女の子の魔法だけってのも、百合と関係ある雰囲気出てるし。
「不確実ね」
「…………」
うぅ、やっぱり駄目かな。
ミレーユがその場に居なかったってのもあるし、普通はちゅっちゅしたら解決なんてならないからね……。
「実はこの戦いの前、MA学園の学園長と話をした」
「えっ?」
「決勝戦、ゆきに勝ちを譲って欲しいと言われた」
「…………」
学園長、そこまでしてあたしを勝たせたいんだ……。
「最初は聖百合教の教祖としての箔付けかと思ったわ」
「う、うん」
思い返せば学園長は、ずっとあたしを支持してくれた。
あたしの自信を取り戻してくれたり、作品を出すのにギルドにかけあったのもあの人だ。
それに、仮に今回ここで優勝したらすごい盛り上がりになりそうではあるし……。
「でも、それ以外が分からない」
「どういう事?」
「この大会で優勝すれば、都の一般人は勿論だけど魔法少女や貴族、王族にも認められる。でもそれを実現出来たとして、その後、どこへたどり着きたいのか」
そうなんだよね。
聖百合教を盛り上げて、何をしたいのか分からない。
ひなと聖百合教に関連はなさそうだし……。
「この世界には大きな流れがある。私はそれを知りたい。学園長のやっている事もそのひとつ」
学園長がかつての勇者パーティのひとりで、魔王やひなの命を奪った人で、だけどその事は誰にも明かしていない。
ひなのクローン?を学園の地下でこっそり作ってるけど、失敗してるみたいだし……。
年齢だって見た目ロリなのに100歳超えている。
うーん、本当に学園長って謎多い。
何がしたいのかよく分からないし、何者なのかも分からない。
「あなたなら、何か心当たりがあるかと思ったけど……」
「ごめん、あたしよく分からない」
「そう、じゃあもう一度聞くよ。あなたはどうして大会に出たの?」
「……かつての勇者を救うためには、あたしやあたしの仲間、教徒の人、貴族の人は勿論だけども、他の魔法少女の力も必要なの」
「…………」
「だから、大きな大会で実績を出せば、ついてきてくれるかなって思った」
今は学園長の事はおいといて。
あたしがしたい事は、ひなを救う事。
決め手はあたしがやるとしても、そこに行くまでにはみんなの協力が不可欠。
その為に、どうにか魔法少女の心を掴まないと。




