39-3
…………。
…………。
「お、おい……」
「教祖様が起きないぞ……」
「ゆ、ゆきちゃん……?」
…………。
…………。
もうわけわかんない。
…………。
…………。
うぅ、これって……。
結界の破片?
いつの間に砕かれていたの?
…………。
…………。
なにこれ、まるで手が出ないじゃん。
反則だよ……。
「いやあ! ゆきちゃん!!」
「教祖様! 立ち上がってくれ!!」
そんな勝手な事言われても……。
何やったかわかんないし、一撃が全部防御突き付けて直接ダメージになるとか。
もう痛いのいやだよ、お願いだからこのまま休ませて……。
…………。
…………。
「教祖様もここまでなのか……?」
「ゆきちゃん……」
「やっぱミレーユは強いな」
そうだ。
このまま寝てて何になる?
今まで大会勝ち抜いたのが全部無駄になる。
うぅ、立ち上がれあたし!
魔法力だってきっと残ってるはずだ!
お願い動いて、あたしの体……!
「エステレラ、戦闘不能と見なし――」
「ちょ、ちょっと待って!」
ふ、ふう。
結界はる時、構えてたおかげかな。
最初に受けた時よりはダメージが無かったかも。
それでも足元ふらふらし、息苦しいけど……。
「まだ戦える?」
「……はい」
「おお! 教祖様が立ったぞ!」
「うおー! 教祖様!!」
「ゆきちゃん頑張れー!」
でも、結界が破壊された事でミレーユの攻撃を暴く魔法思いついちゃった。
へへへ、これならきっと……!
「試合再開!」
「…………」
リングガールの合図とともに、ミレーユが再び消えた!
よし、今こそ!!
「いっけえ!! 勇者の吹雪!!!」
あたしの魔法は、魔法力を物質化する事!
相手はどこから来るのか分からない。
だったら……、こうだ!!
あたしは、拳を強く握りながら祈ると、腕をめいっぱい周囲へ振るう。
すると、手から粉々になった魔法力の結晶が舞い散って、周囲をキラキラと輝かせた。
あたしが即興で思いついた魔法、勇者の吹雪。
それは、粉々になった魔法力の結晶を周囲にばらまく。
こうすれば、姿を消しているミレーユの姿だって見えるはず!
「…………」
おお!
見えるよ!
魔法力の結晶の無い部分が明らかに出来てる!!
確かに、こっちに迫ってきている。
「そこだあーーー!!!」
よし、今しかない!!
勇者の剣で迎撃して……!!




