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38-6

セフィリア視点

 なら今まで見た内容は、私が心の中で思っている事。

 つまり、エレナさんに対する印象か、あるいは……。


「そんな! 私はそんな事思っていない!」

「その様子ですと、かなり酷い内容だったのですね……」

 思い出したくも無いし、口にも出したくない。

 まさかあんな内容が、エレナさんに対する思いだったなんて!


「ですが、これは事実なのです」

 馬鹿げている。

 これもきっと学園長の仕業に違いない。

 そうよ、間違いない……。


「私は、あなたこそがゆきさんの伴侶に相応しいと信じております。真の婚約者はエレナさんではない、あなたなのです」

 …………。

 たとえエレナさんに対する印象が悪かったとしても。

 ゆきさんが選んだのはエレナさんである事に変わりはない。


 だから私には関係ない。

 私はただの友人で、聖百合教の第2巫女なだけ……。


「これ以上あなたの話を聞いてられません。失礼します」

「どうか気づいてください。そして気づいたなら私のところへ来てください、いつでもお待ちしておりますよ」

 私は学園長から逃げるように去った。

 その間に何度か振り返りましたが、その時の学園長はどこか寂し気な笑顔をこちらに見せていたまま、私を追っては来なかった。



 聖百合教本部へ戻る道中にて。


「…………」

 正直、学園長が私に与えた衝撃は大きかったです。

 ですが、それでも私はエレナさんを信じます。

 確かに先ほどはきつく言ってしまいましたが、それだってゆきさんの本当の夫として振舞って欲しかったからですし……。


「…………」

 何なのでしょう。この嫌な感覚。

 胸の中が気持ち悪い何かで満たされて、それがグルグルしているような。


 こういう時は戻ってすぐに休みましょう。

 明日はいよいよゆきさんとミレーユさんとの戦い。

 戦った後のケアもそうですし、応援もしっかりとせねば。


 そう思い、大きく呼吸をした。

 その直後。


 おや……?

 あの人影は。


「……どうしたもんかな」

 あれはエレナさん?

 帰る途中かしら?

 でもどうして空を見上げているのでしょうか……?


「やっぱ、あれしかないか!」

 何か独り言を言ってますね。

 ”あれ”とは、何でしょうか。


 そう思いつつ、私はエレナさんの後を追っていくと……。

 おや、ここは……。



 アルキメディスの家の前にて。


「おーい! いるかー!!」

 まさか、エレナさんはアルさんに会おうとしていたのですね。

 でも、こんな夜遅くにどうしてでしょうか。


 おや、アルさんが出てきましたね。

 むっ、おふたりが家の中へ……?


 まさか……。

 学園長に見せられた幻影と同じ事を……?


「はぁ、何を不埒な……」

 やれやれ、いけませんね。

 あのような事で心が揺らぐなんて……。

 もっと引き締めねば。


 そう思いつつ、私は聖百合教本部へ戻った。

 何か引っかかるような、もやもやとした気持ちを抱えたまま……。

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