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あたしがいちかばちかで放った勇者の剣。
それはリゼットの光の粒へと迫り、交わろうとした瞬間。
「おお!」
やった!!
誘爆させられたよ!!
あれ?
でも光の粒が剣に当たる前に爆発したような?
ということは、普通の火薬を使った爆弾みたいな熱とかじゃなさそうだし、火の気も無かった。
他の薬品のような、衝撃ってわけでもなさそうだよね。
「…………」
あたしの勇者の剣は、あたしの魔法力の塊。
それをぶつけようとして……。
…………。
………‥。
ああーーー!!!!
そっか!!
あの光の粒、魔法力に反応して爆発してたんだ!
きっと、魔法力がある一定以上の高さの時に、炸裂するようになってるんだよ!!
そうだよ!
だからあたしが盾を生成した時に反応したんだね!!
じゃあ幻影を出して爆発したのも、幻影という魔法力の塊に反応したってわけだね?
なるほどなるほど……。
でも、それだけじゃ攻撃を避ける事なんて出来ないし……。
”魔法力に反応する爆弾”が、防御にどう関連付けされてるかなんて分からない……。
だからもっとこう解釈を変えるというか。
広い目線で考えるというか……。
「……気づいたのかしら」
ちょ、ちょっとまって!
あたし脳みそフル回転中なんだからっ!
えっとえっと。
魔法力に反応する爆弾をつくる魔法。
魔法力に反応……、反応する……。
もしかして、目で見てるんじゃなくて。
あたしの魔法力を感じている……?
だから勇者の魔法を使った攻撃は全部避けられたってこと?
「まあいいわ、決着よ」
リゼットの本当の能力。
それは魔法力を感じること。
そういえば、セフィリアとかミカエルも魔法力の強さが分かるって言ってた。
あれが極端にずば抜けていると考えると……。
うぅ、また攻撃が来た!
でもあたしの考えが正しいなら……。
「勇者の短剣! えいっ!!」
残り少ない魔法力、無駄に出来ない。
だから勇者の剣よりも消耗の少ない短剣を生成、光の粒めがけて投げて……!
あたしが投げた短剣、リゼットの放った光の粒。
それらが交わろうとした瞬間。
「……!!」
光の粒は炸裂し、あたしの短剣は粉々に砕けてしまった。
でもこれは、あたしの予想が正しかったことの証明でもある。
「リゼット! あなたの魔法の仕組み、わかったよ!」
「成長したわね」
やった!
やっと、リゼットの魔法を破ったよ!
大分消耗しちゃったけども……、これで形勢逆転――。
「それでどうするの? 魔法力なしで戦えるの? まさかわたしを殴り倒す?」
うっ、そうなんだよね。
あたしそんな力ない……。
こういう時、ルリとかウィーンみたいに格闘術も使えたら戦えたんだろうけども……。
うぅ、やっぱり手詰まりかな。




