5-1
試験日当日。
いつもの教室にて。
「うにぅ……。今日は試験の日です」
フロリアンナ先生はいつもと変わらず眠そうだ。
魔法少女として活動しているから休みが取れていないのかな?
それとも、いつも眠いキャラなのかな?
「この学園は卒業までに3回の試験と、卒業直前にあるグランドリリィ決定戦があり、今回はそのうちの1回目となります」
なるほど、全部で3回かー……。
という事は、脱落するタイミングが3度あるってことだね?
ひえぇ……、意外とハードかも。
同人本作る余裕あるかな。
「大事な試験なので、力の出し惜しみをしないようにしてくださいZzz」
そう言い残すと、フロリアンナ先生は立ったままうとうとと寝てしまった。
「それじゃあ先生は寝てしまったので、まずは筆記試験から進めましょう」
変わって学園長がそう言うと、フロリアンナ先生を椅子に座らせた後に、持っていた杖を上へあげる。
すると、あたしが座っていた机の上に1枚の紙が現れた。
「今お配りした紙に書かれた内容を、魔法の力で答えてください」
え、魔法の力で……?
ちょ、ちょっと!
あたしそんな文字を書く魔法なんて出来ないよ!!
「では始めてください」
あああああ!!!
始まっちゃったよ!!
とりあえずあたしは配られたテスト用紙を見る。
お?
おお……?
これって、学園長が教えてくれたところだ。
わかる……、わかるよ!!
でも答えを書けない!!
どうしよう……。
そうだ、周りの人がどうやってるか見てみよ――。
「ゆきさん、周囲を見てはいけませんよ」
ぎくっ。
ばれてる……。
うーんうーん。
問題はわかるのにいい!!
どうしよう、どうすればいい……?
むむ、この問題用紙。
右上のすみっこに時計のようなものがついている。
針がだんだん進んでいるって事は、もしかしてこれが制限時間を表示しているって事なの?
ひえええ、時間がない!
まてあたし。
あわてるな、落ち着け……。
きっと何かいい方法があるはずだ。
おちついて考えれば、きっと……。
…………。
…………。
…………。
…………。
今までの個別授業も含めた授業全てを振り返った。
座学も習ったけど、基本は歌ったり、踊ったり、絵を描いたり……。
それをしたのは、魔法を使うのに大事なのはイメージ力で……。
そっか!
もしかしたらこれで……!
あたしは紙に向かって強く念じた。
すると、今まで空白だった回答欄がみるみる埋まっていった!
やっぱりそうだ。
イメージするってこういう事だったんだ!
よし、これならいける。
この調子で……、この調子で……!




