37-2
「やあ! 勇者の剣!!」
あたしは試合開始の掛け声とともに、一気にリゼットを攻めた。
走って間合いをつめながら剣を生成し、それを振るった。
けども……。
「ふん……」
あたらない!
もっかい!
「やああー!」
「ふん」
あたらない……!
まだまだ!
「えいやあ!」
「ふん」
ぐぬぬぬぬ。
なんで、なんでよー!
「とうりゃあー!」
「ふん」
あたらないいいい!!!
きー!
全部避けられてる!!
そ、そうか!
きっとハルちゃんみたいに幻影を!
ならばっ!
「先に言っておくけど、鎖のような剣を出しても無駄よ」
「そ、そんなのやってみないと分からないよ!! 勇者の鎖剣!!」
全体攻撃上等!
マップ兵器最高!
剣を伸ばして鎖状にして、それを一気に振るって――!!」
「ふん」
ええええええ!!!
なんかあっさり避けられたし……。
よ、よくあんな動きにくい格好でジャンプして避けたね。
って感心している場合じゃない。
「な、なんで……」
これも当たらないなんて。
こんな事……ある?
「チャンピオンシップが終わったら教えてあげてもいいわ」
それじゃあ意味ないよ!
うぐぐ……。
な、なんで当たらないの。
「まぁ、あなたがその力を使いこなしているのは分かったわ」
げ、手のひらを広げて光の粒を飛ばしてきた……!
まずい!!
「あたしを守って! 勇者の結界!!」
ヘイルシスターズの相方ティエラの時に使ったドーム状のバリア。
これで防御しないと!!
学生の時より魔法防御も魔法力もあがってるから、きっと防げる!
「きゃああああ!!!!」
う、うそ……。
爆風が広がって、止まらない!!
防げない……。
バリアが粉々に砕けて……!
うわあああ!!!
「結界は破壊されたわ」
「ぐぐ……」
まさかこんだけでバリアが壊されるなんて……。
もしかしてリゼットの前の試合も、相手の鉄壁の防御を破って勝ったの?
「また展開するの? 無駄だと思うけど」
というか、攻撃しても当たらない。
防御しても破られる。
……あたし詰んでる?
ええい!
あきらめるなあたし!
何かあるはず。
リゼットがあたしの攻撃を避けられる何か秘密が!
うぅ、でも全然わからない。
そもそもリゼットの魔法って、高密なエネルギーを飛ばして炸裂させるじゃないの?
それがどうして攻撃を避ける事と繋がってるの?




