36-8
「俺らは闇の核から出てきた勇者の成れの果てと話した」
「ほお……」
「どうやらかつての仲間たちの復讐心から、闇を生み出したと言ってた」
うお、あたしが悩んでたらエレナが変わりにいってくれた!
さ、さすが……。
「動機は復讐ですか……、その様子だと理由までは分からなさそうですね」
「まあな」
うーん、交渉上手というか話上手いなぁ。
変な表情もしないし、ずっと聞いていたセフィリアも笑顔で頷いてるし。
できる……。
「ありがとうございます」
「おう」
「では代わりにこちらが得た情報をお話ししますね」
なんと!
レティシアが持ってる情報も貰えるなんて!
やっぱこの人いい人かも。
「闇の核が複数存在しているのはご存じでしょうか?」
「ああ、大規模闇討伐戦で言ってたな」
「実は、闇の核に出会って生き延びた魔法少女が他にも居まして、その時に見たのがゆきさんの衣装にそっくりな魔法少女だったそうです」
「えっ、じゃあそれって」
「多少の時間差はあれど、見間違いでなければ勇者が複数人いるって事になりますね」
ひなが複数人……?
どういう事だろ。
「おいおい、過去の勇者は分身する術や幻影をつくる術、変身する術が使えたのか?」
「そうじゃありません」
「じゃあなんだ?」
「勇者は複数人いるのです」
う、うん。
何を言ってるのかわからない……。
あれ?
いや、そうでもないかも。
ひなは複数人いるじゃん。
「闇の力の影響なのか、それとも他の要因か……」
「学園の地下……」
「学園の地下?」
「うん、前に学園の地下に侵入した事があって、そこで勇者をたくさん見たよ」
「何故勇者が学園なんかにいるのでしょうか……」
思わず言っちゃった……。
これ以上は言えない。
言ったらあたしもそうだけどエレナやセフィリアが危ない。
「有益な情報ありがとうございます。また何か分かったらお伝えしますね」
「うんうん」
ほっ、追及されなくてよかった……。
「私の事、レティシアではなく、ルリとお呼びください。魔法少女になる前はルリフィーネという名前ですので。それではごきげんよう」
レティシア……もといルリはスカート軽くたくし上げて頭をさげると、その場を去ってしまった。
うーん。
思わぬところでいい情報得たなぁ。
ひなが複数人……。
もしかして、学園から逃げ出したとかかな?
うーん、わからん。
「勝者! リゼット!!」
あっ、しまった!
試合見てなかった!
終わってるし……。
ま、まぁリゼットの戦法は知ってたし大丈夫かな……?




