36-6
闘技場内、選手控えの部屋にて。
「ゆきすげえな!」
「お疲れ様です。無事に戻ってきて何よりです」
いやぁ、毎回そうだけども。
今回もぎりぎりだった……。
「あの槍をぐるぐる回すのとか、よく思いついたな!」
「見事ですね。うふふ」
咄嗟の作戦だったけど、上手くいってよかったと思ってる。
我ながら、ぶっつけ本番でよく出来たなぁ。
やっぱ魔法力高いと、生成できる物のバリエーションも増えるって事かな?
しかも、今回のチャンピオンシップで使った鎖剣も螺旋槍、実戦でいかせそうだよね。
「それにしても、いよいよベスト4かー」
「う、うん」
あと2回勝てば優勝……。
でも残ってるのって左ブロックはあたし、右ブロックは高ランカーのふたり。
で、残り1枠が今決まるわけだ。
うーん、今まで以上にきつい戦いになるよね……。
「次の対戦相手の試合、見に行こうぜ」
だから、せめて見に行こう。
何かいい戦法が思いつくかもしれない。
そう思いあたしは、選手控室を出て観客席へと向かった。
円形闘技場、観客席にて。
「3回戦第2試合!」
どうやらちょうどタイミングが良かったみたい。
これから始まるみたいだね。
リングが直ってる、やっぱり魔法で直したのかな……?
「闇討伐数は随一! 貴族にも認められた実力を本大会でも遺憾なく発揮し、初参戦にしてベスト8進出!」
たぶんこれ、リゼットの事だよね。
意外にも初参戦だったのね。
「このまま勝ち進むことが出来るのか! それとも消えてしまうのか! 12歳、魔法少女ランキング8位、チャンピオンシップ初参戦!!」
12歳!
ほえー、ちっちゃいけど肝が据わってるというかなんというか。
しかも闇の中に行った時よりランク上がってるような?
「魔法力は、……390万!! ダークハンター、リゼット!!!」
リゼット390万もあったんだ……。
てことは、学生の時100倍近く差があった魔法少女と相手してたってことだよね?
うひー、今考えると信じられないよー。
おお、出てきた。
エプロンワンピースな町娘の格好だ。
魔法少女じゃないと、街に居そうな感じだね。
「その堅牢な防御魔法と治癒魔法により、かつてA級闇の侵略を阻んだ英雄、チャンピオンシップに舞い降りる!」
ひえー、なんかすごい。
英雄とか言われてる……。
「攻撃は最大の防御という名言を覆し、見事勝利をもぎ取れるか! 15歳、魔法少女ランキング37位、チャンピオンシップ過去成績ベスト8!!」
防御特化魔法少女かぁ。
参考になるかも、しっかりみなきゃ。
「魔法力、200万!! 鋼鉄の処女、ヒルダ!!!」
すごい異名だ。
さすがにここまで勝ち残った魔法少女だと、魔法力も100万単位が当たり前になってくるなぁ。
「それでは変身してください!」
「…………」
相変わらずあっさりしているというか。
ぱっと魔法少女姿に変わったね。
態度はあれだけども、やっぱ可愛いよなぁ、黒いワンピースで白いふりふりエプロン!
袖も姫袖だし、何よりも似合ってる。
「やあっ!」
対戦相手の方も、ひとつ掛け声発したらあっという間に変身しちゃった。
ほおほお、ハルちゃんと似たような感じのナース服とメイド服のあいのこって感じだ。
こっちは水色メインで爽やかなイメージだね、うん可愛い。
「試合開始!」
リゼットの攻撃はすごく強かった。
対戦相手は防御に定評がある。
うーん、どっちが勝つのかな……!




