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4-9

 今日の授業を終えたあたしは、まっさきに自室へと帰ると、机に向かって絵を描き始めた。


 売上とか、人気とか、そんなの関係ない。

 あたしの好きな絵、描きたい絵。

 それだけを思って一枚の絵を仕上げていく。


 …………。

 …………。

 …………。

 …………。



「ふー」

 こんなにも夢中に、そして楽しく描いたのは久しぶりだね。

 うわっ、外もう真っ暗じゃん……。

 学園長に見せようと思ったけども、こんな夜遅くじゃ迷惑かな。


 いや、でもやっぱり行ってみよう。

 駄目だったら引き返せばいいからね。


 そう思うとあたしは、夜な夜な自室を出て行き、学園長の執務室へと向かった。



 そして程なくして執務室へ到着する。


「失礼します……。あれ……?」

 扉の鍵は閉じていなかった。

 誰にも見られなければ自由に出入りしていいと、学園長からは言われていたので遠慮なく入ったはいいけれども。

 明かりはついているけれど、誰も居なかった。


「うーん。奥の部屋かな」

 執務室とは別に、もう一つ部屋がある。

 あたしがアリスシリーズをこっそり着せてもらった場所だ。

 そっちにいるのかな?

 よし、行ってみよう。

 この扉を開けてっと……。


「ひっ! いたい!」

 あたしがドアノブに触れた瞬間、まるで静電気でパチッとなったような衝撃が走り、思わず手を引っ込めてしまった。


「どなたですか?」

「あっ、学園長」

 そして大した間も置かずに、部屋の中から学園長が出てきた。


「さっきのビリって感覚は……?」

「ちょっと魔法の研究をしておりまして、誰にも邪魔をされたくなかったので、扉に軽い結界魔法を付与したのですよ」

「なるほど……」

「それで、どうかしましたか? ゆきさん」

「あ、そうだ」

 学園長が見つかった、居てくれてよかった!

 よし、今度こそ描いた絵を見せてっと……。


「これ見てください!」

「いいでしょう」

 あたしは描いた絵を学園長へ渡すと、学園長はいつもの笑顔のままその絵を受け取り眺め始めた。


「可愛らしい絵ですね。あなたの気持ちが伝わってきます。いただいてもよいかしら?」

「えっ、はい! どうぞ!!」

 おお!

 好感触じゃん!!

 これって、直接言ってないけど合格って事かな!

 きっとそうだよね?


「それじゃあ夜も遅いですし、もう休んで明日に備えなさい」

「はい」

「試験は私が直接手を貸せませんが……、頑張って下さいね」

「ありがとうございましたっ!」

 とりあえず10日間で学園長の個人レッスンは全て終わった!

 やる事はやったぞ!

 あとは試験に挑むだけだ!!

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