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今日の授業を終えたあたしは、まっさきに自室へと帰ると、机に向かって絵を描き始めた。
売上とか、人気とか、そんなの関係ない。
あたしの好きな絵、描きたい絵。
それだけを思って一枚の絵を仕上げていく。
…………。
…………。
…………。
…………。
「ふー」
こんなにも夢中に、そして楽しく描いたのは久しぶりだね。
うわっ、外もう真っ暗じゃん……。
学園長に見せようと思ったけども、こんな夜遅くじゃ迷惑かな。
いや、でもやっぱり行ってみよう。
駄目だったら引き返せばいいからね。
そう思うとあたしは、夜な夜な自室を出て行き、学園長の執務室へと向かった。
そして程なくして執務室へ到着する。
「失礼します……。あれ……?」
扉の鍵は閉じていなかった。
誰にも見られなければ自由に出入りしていいと、学園長からは言われていたので遠慮なく入ったはいいけれども。
明かりはついているけれど、誰も居なかった。
「うーん。奥の部屋かな」
執務室とは別に、もう一つ部屋がある。
あたしがアリスシリーズをこっそり着せてもらった場所だ。
そっちにいるのかな?
よし、行ってみよう。
この扉を開けてっと……。
「ひっ! いたい!」
あたしがドアノブに触れた瞬間、まるで静電気でパチッとなったような衝撃が走り、思わず手を引っ込めてしまった。
「どなたですか?」
「あっ、学園長」
そして大した間も置かずに、部屋の中から学園長が出てきた。
「さっきのビリって感覚は……?」
「ちょっと魔法の研究をしておりまして、誰にも邪魔をされたくなかったので、扉に軽い結界魔法を付与したのですよ」
「なるほど……」
「それで、どうかしましたか? ゆきさん」
「あ、そうだ」
学園長が見つかった、居てくれてよかった!
よし、今度こそ描いた絵を見せてっと……。
「これ見てください!」
「いいでしょう」
あたしは描いた絵を学園長へ渡すと、学園長はいつもの笑顔のままその絵を受け取り眺め始めた。
「可愛らしい絵ですね。あなたの気持ちが伝わってきます。いただいてもよいかしら?」
「えっ、はい! どうぞ!!」
おお!
好感触じゃん!!
これって、直接言ってないけど合格って事かな!
きっとそうだよね?
「それじゃあ夜も遅いですし、もう休んで明日に備えなさい」
「はい」
「試験は私が直接手を貸せませんが……、頑張って下さいね」
「ありがとうございましたっ!」
とりあえず10日間で学園長の個人レッスンは全て終わった!
やる事はやったぞ!
あとは試験に挑むだけだ!!




