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1-3

 みんなが笑っている……。

 天気はどうなのかは……見えないや。


「という事は、ここは?」

「舞踏会の会場へ向かう馬車の中……といえば通じるか?」

 なるほど、馬車の中だったのね。

 今まで気が動転していて分からなかったけれど、耳をすませば馬の蹄の音がしているや。

 こんだけガタガタ揺れてるって事は、道が悪い場所なのかな。


 あれ?

 舞踏会の会場?


「うーん……」

 舞踏会って、あの貴族とか王族とかがふわふわのドレス着て踊ったりするあれだよね?

 あたしもそうだし、つり目の女の子や他の子もそうだけど、みんな格好はぼろぼろだよ?

 シンデレラ(変身前)みたいな感じだよ?

 それで舞踏会って、すごい場違いな感じがあると思うけども……。


 って舞踏会!?

 馬車の中、この格好、そして行く先が舞踏会……。


 あ、あたしの持ち物……!


 …………。

 …………。

 …………。

 ない、なんにもない。

 財布もスマホもない……。

 と思ったら何故かあたしの描いた同人本だけある……。


 えぇ、持ち物これだけ?

 一番役立ちそうになさそうなのを持ってるなんて……。

 そりゃあ大事だけども、今は違うでしょうに!


 というかこの雰囲気、状況。

 もしかして、異世界転生……?


 そんなうそでしょ!?

 トラックにひかれて死んだから異世界へ生まれ変わったなんてベタベタ展開!

 まさかあたしがそれになるなんて……。

 あわわわわわわわどどどどどどどうしよよううう!!!!


「随分盛り上がってるな? ようやく現実が見えてきたか?」

「だって、だって、異世界へ来ちゃったんだよおおおお!!」

「はぁ? 異世界?」

「そうだよ!」

「お前何言ってるんだ?」

「えっ?」

「ははーん、さてはお前、あれか。それは辛いな、あたしは元々そうだったしなー」

「あの、何か勘違いしてます……?」

 なんだろう、この子何か間違ってるような気がする。

 誤解解かなきゃなんだけども、どうやって説明したらいいんだろう……。


「まぁ、今はありのままを受け入れな。考えるのは現地に着いてからだ」

 うーん。

 確かに言う通りだ。

 今こんな何のヒントも無い状況で慌ててもどうしようもないよね。

 ともかく今は舞踏会へ行くみたいだから……って。

 あれ?


「あの」

「あー? どうした?」

「舞踏会って事は、綺麗なドレスとか着るんだよね……? じゃあお城で着替えるのかな?」

「城? ドレス? 着替える?」

「うん」

「あぁ……、まぁそうだな。現地で貰えるはずだ、俺も詳しい事は知らん」

 まさかの俺っ娘(おれっこ)

 フィクションでしか見た事なかったけど、本当に居たなんて!


 って今はその事に感動するんじゃなくて……。


 どうやら舞踏会に相応しい衣装は現地で貰えるみたいだ。

 なら服装の心配はなさそうだけども。


「俺はもうひと眠りするから、お前も大人しくしとけ。舞踏会は体力使うらしいからなー」

 あたし、ダンスなんて小学校の時に運動会でやったくらいだし、うまく踊れるかなぁ。

 不慣れな事だし、確かに体力使うかもだよねぇ……。


 あたしはつり目の女の子が目を閉じて寝息をたてたのを見ると、同じように目を閉じて眠ろうとする。

 しかし、ガタガタするたびにおしりが痛かったので、結局寝る事は出来なかった。

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