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魔法少女チャンピオンシップ4日目。
「いよいよだな」
「うん」
そう、いよいよなんだよ。
「相手はあの先生だ」
「うん」
だって相手はMA学園であたしの先生をしてくれていた、フロリアンナ先生!
「ヘイルシスターズは、魔法少女でも最強と呼ばれている程ですね」
「う、うん」
いつもはうにぅZzzとか言って眠たそうで、掴みどころがない感じなんだけども。
魔法少女の間では、ヘイルシスターズって呼ばれている凄腕魔法少女らしい。
最強魔法少女候補のひとりとか、なんかこういろんな噂が出ている。
ん?
最強ってことは、あのランク1ミレーユよりも強いって事なんだよね。
「胸借りるつもりでやるよ」
うう……。
正直、今回はもうだめかもしれない。
だからせめて、勉強させてもらう気持ちで……。
「胸はないだろ、ちっちゃかったぞ?」
「そうじゃなくてー!」
もー!
こんな時に冗談なんて!
確かに幼女っぽかったけどもー!
「そんなしょっぱい事言うな、やるからには勝ってこい」
エレナはそう言うと、あたしの胸に握った拳をトンっと当てた後、明るい笑顔を見せてくれた。
「決して無理だけはしないようにしてくださいね」
セフィリアはそう言うと、少しだけ首を傾けて優しい笑顔を見せてくれた。
「ふたりとも、ありがとう」
なんだかいつも励まされているような。
すごく嬉しいし、あったかい。
「さあ、行ってこい」
「お気をつけて」
「うん!」
よーし、頑張るぞ!
フロリアンナ先生が相手でも、やってやるー!
リングのある中央の広場。
そこへ通じる道にて。
「みなさま、お待たせしました! 魔法少女チャンピオンシップ4日目、3回戦第1試合を開催します!!」
「うおー!」
おお、観客すごい盛り上がってる。
ベスト8だもんなぁ。
「教祖の奇跡、ここに極まる!」
相変わらず、ギルドのお姉さんノリノリだ。
でも、こういうの出来る人羨ましいかも。
あたしも同人でいろんなとこ行ってたけど、そこまで人前に出るの得意じゃないからなぁ……。
「初戦にも関わらず1回戦目、2回戦目を華麗にクリア!!」
華麗ではなかったと思うけども。
まぁ、そこは突っ込んじゃいけないんだよね。
「このまま勝利という栄光を描き続けられるか!」
試合に勝って、魔法少女の心を掴んで……。
今更だけども、エレナやセフィリアの力も借りれたらなぁって思う。
「16歳、魔法少女ランキング17位、チャンピオンシップ初参戦!! 魔法力は、……540万!! 雪花の百合教祖、エステレラ!!!」
よし、ここでリングへ向かうんだよね。
ひっ、入り口両脇の爆発はやっぱり慣れない……!
「彼女が繰り出すは、永久凍土の絶対零度魔法……」
フロリアンナ先生、そういえばヘイルシスターズだっけか。
ヘイルって確か、氷とか雹とかって意味だったような?
「その力の前では、全ての時は制止される……」
という事は、氷使いかな。
うーん。
グランドリリィ決定戦のミカエルを思い出す。
うぅ、大丈夫かなあ……?
「11歳、魔法少女ランキング15位、チャンピオンシップ最高戦歴4位!!」
ひええっ、ランキングも過去の成績も上だ。
「魔法力、405万! ヘイルシスターズ、フロリアンナ!」
ついにくる……!
フロリアンナ先生……!
「やあやあー。声援ありがとぉ」
あ、あれ?
出てきた魔法少女、雰囲気も眠そうな感じじゃないし、見た目はまぁやっぱロリなんだけども。
先生……じゃない?




