35-3
勇者の鎖剣による、リング全体攻撃!
どんな仕掛けなのかわからないけども、これなら避けようがないはず!
と思った攻撃も、結局空振り。
「うーん……」
あたしは伸びた鎖剣の長さを元に戻し、扱いやすい普通の剣に再生成しなおすと、構えたままハルフリーダちゃんの方を見た。
「やっぱすごいですね! 流石はエステレラさんです(・・;)」
「あ、ありがとう……」
褒められても、当たってないんだよね。
どうしよう、困ったぞ!
「じー(・・)」
「…………」
このまま攻め続けたって、あたしの攻撃は当たらない。
無理に攻撃して消耗すれば、この子の思うつぼだよね。
「じー(・・)」
「…………」
かといって、攻めなきゃ勝負はつかない。
待ってたって、相手が降参してくれるなんてありえない。
「おいおいまたお見合いかよー」
「早く攻めろよー!」
「ゆきちゃん頑張ってー!」
というか、観客のブーイングがだんだんすごくなってきてる。
これじゃ、折角みんなの気持ち掴んだのに駄目になっちゃう。
「じー(・・)」
「…………」
あれ?
これ、詰んでるあたし?
「じー(・・)」
「…………」
おちつけ!
あきらめない!
何かあるはずだよ!
考えるんだ、えっとうんと……。
勇者の剣(単体攻撃)じゃ当然当たらない。
勇者の鎖剣(全体攻撃)でも駄目だった。
だから、勇者の槍でも多分解決しないと思う。
他の武器を出してみる?
うーん、勇者の鎖剣よりも範囲が広い武器……。
……あったっけそんなの。
ちがうちがう。
もっと別のことを考えるんだ。
勇者の鎖剣を振るった時、あたしはリング中央よりやや入り口側に寄ってた。
そこからハルフリーダちゃんめがけて横薙ぎに振るった。
つまり、全体攻撃といいつつ実際のところ、攻撃した範囲は扇状なわけだ。
攻撃範囲外、たとえばあたしの後ろとかは範囲外なんだよね。
でも、ハルフリーダちゃんはあたしの目の前にいる。
後ろに回り込まれた様子もないし、めっちゃ素早く動いて鎖剣を避けたなんて事もない。
ハルフリーダちゃんは回復魔法を使う魔法少女。
セフィリアもそうだけど、どういう理由なのか回復魔法メインの魔法少女って攻撃系の魔法は使えない。
だから、攻撃魔法じゃない。
この世界の魔法、今まで出会った魔法少女の魔法。
そういうのをいろいろ考えて……。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
…………。
!!
そっか、ひらめいた!!
「あたし分かったよ!」
「ふぇ?_?」
「答えはこれだよ! 勇者の鎖剣!!」
あってるかどうかなんて分からないけれども、今はあたしのひらめきにかけるしかない!
鎖剣で再びハルフリーダちゃんを攻撃だ!!




