35-2
さあ、試合が始まったぞ。
「じー(・・)」
「…………」
ハルフリーダちゃん。
どう攻めてくるか……!
「じー(・・)」
「…………」
明らかに格上の相手を倒している、油断は出来ない。
さあ、どうする……!
「じー(・・)」
「…………」
「じー(・・)」
「…………」
「やあん(*ノノ)」
な、なんで照れてるの……。
というか、なんで攻めてこないの。
「おい、ふたりとも見つめ合ったままだぞ……?」
「どうしたんだ?」
「何やってるんだ?」
うぐ、観客の人らの様子が不穏だ。
そりゃそうだよね。
ハルフリーダちゃんが照れているだけだもの……。
「ぜ、全力でいいですよっ!」
「う、うーん」
いや、そうは言われても。
誘ってるの……かな?
「じー(・・)」
だ、だめだ。
このままじゃ終わらない。
やるっきゃない!
「勇者の剣!」
どんな魔法なのか分からないけども、前の相手よりも動きは速いはず!
だったらきっと!
そう思い、あたしは勇者の剣を握りしめ、地面を強く蹴って一気に距離を詰めていき……。
「やああ!!!」
剣を全力で横に振るった!
「危ない><」
けど、当たらなかった。
「…………」
う、うーん。
実際に間に当たりにしてみて分かった。
マジでどうやって避けているのか分からない事が分かった……。
「やあ!」
それからもあたしは剣をハルフリーダちゃんめがけて振り続けた。
「怖いよお><」
でも、当たらない。
「とりゃあ!」
「ひいっ@@」
剣の振る方向とか、タイミングとかも変えてワンパターンにならないように攻めてみた。
「うりゃあ!」
「ぎりぎり><」
でも、当たらない。
だ、だめだ。
まるで当たらない……。
一見、絶妙な角度で避けているから、実は武術の心得があるのかな?とも思うけども。
「はぁー、どうにか避けれました^^;」
そんな風には見えない。
そう思わせて油断する作戦……なのかな?
「ならこれならどうだ。勇者の鎖剣!」
と、ともかく!
あたしの攻撃が避けられるのなら、避けられないようにするだけ!
これでフランシーヌの時のように、リング全体攻撃だー!
「いっけえーー!!」
チェーンの部分を伸ばして、それを振り回す!
どうだ、もう逃げ道はないよ!
「あわわわ@@;」
これには流石のハルフリーダちゃんも驚いているね?
よっしゃあ!
このままいってやるーー!!
「決着つくか……!」
「ハルフリーダも負けるなー!」
「ゆきちゃん頑張れー!」
あたしの願いをこめた鎖剣は、まるで津波のようにリング全体へと振るわれる。
これならハルフリーダちゃんだって、避けられないはず!
「ふー、今のは危なかったです^^;」
だけど、あたしの鎖剣は空振りに終わってしまった。
ハルフリーダちゃんは無傷だ。
というか、確かに当たったよね?
なんだろう、なんか剣が体をすり抜けたような風に見えたけども……。
別に何ともなさそうだし。
な、なんなの。




