34-6
円形闘技場内、控えの部屋にて。
初戦に勝って、どうにかこの部屋に戻る事が出来た……。
「やるじゃねえか!」
「流石ですね。ふふ」
「正直駄目かと思ったよ……」
本当、ぎりぎりだったかも。
学園じゃ数値化されてたからいいんだけど、何も分からないから相手の攻撃を受けるとすごい不安で不安で……。
「いやーまさかあんな長い武器で攻撃するとはー、俺はてっきり風車とか作って霧吹き飛ばすのかと思ったぞ!」
あたしもそれを考えたけど、あたしのイメージが具現化されるんだよねこれ。
だったら、複雑な道具はたぶん作れないんだろうなぁ。
うーん、もっと訓練するべきだったのかも。
「私は球形に盾を展開し、消耗戦に持ち込むかと思っておりました。ですがいい意味で裏切られましたよ」
なるほど、魔法力の消耗は相手の攻撃を受けた時だけに限らない。
魔法で攻撃しても魔法力は減っちゃう。
あれだけ霧を出し続けているってことは、それなりに消耗しているって事だし、その手があったかー。
でも、問題はそこじゃない。
「うーん」
「どうした?」
「どうかしましたか?」
「なんか違うんだよね」
「違うってなんだ? 勝ちは勝ちだろ?」
そうなんだよ、戦いには勝った。
だけども……。
「今回の目的って、魔法少女を味方につけるんだよね?」
「そうだな」
「何か気がかりでも?」
「だから……、ん~~、なんだろう。ただ負かすだけじゃ駄目だと思うんだよね!」
こんなんで、他の魔法少女の心を掴む事なんて出来るのかな?
こういう大会に出るって事は、ランクアップしたいんだろうし。
負けるって事は、それが邪魔されるんだよね?
自分の邪魔をする相手の言うこと聞く?
助けたいと思う?
……思わないよね。
「なんか難しいな?」
「う、うん……」
かといって、負けたらおっけー!ってわけでもなくて。
ああああ!!
分からなくなってきた……。
「なんかこう、お互いに納得のいく勝負ってのをしないと駄目って思うの」
つまりそういうことなんだよ。
その手段がぜんっぜん分からないわけで……。
「んなもん、相手をぶちのめすだけだろ。徹底的にな」
相変わらず豪快というか、潔いというか。
……でもそれもひとつの解決方法だよね。
圧倒的な力で完膚無きまでにやっつけて、従わせる。
って、ちがうちがう!
そんなのあたしじゃないよ!
「そ、それ以外の方法がいいかな……」
「ゆきは甘いな」
「ごめん……」
「まあまあ、そこがゆきさんのいい所だと思いますよ」
「まあな。よし、次の試合見に行こうぜ」
「うん!」
次の試合って事は、あたしの対戦相手だよね。
初戦までは緊張してて人の試合見てられる気持ちじゃなかったけど、今は見ておかないと!




