34-4
さあどうする……。
フランシーヌ、どうやって攻めて来る……?
「…………」
手を広げて、何やら口を動かして……。
むむ、広げた手から霧が出てきた!
うわっ、霧がだんだん広がっていって……。
何も見えなくなっちゃった。
「どうした! 霧に包まれてしまったぞ!」
「見えないのじゃ分からないだろー!」
観客からはブーイング出てる。
という事は、リング全体が霧で覆われたのかな。
でもこれじゃあ、あたしもだけど相手も見えないような?
「きゃあっ!」
ひっ、後ろから衝撃が!!
ど、どして!
何であたしの位置見えるの!
「ひいっ!」
まただ!
今度もあたしの背中に攻撃してきた!
幸い魔法力が身代わりになってくれているから、怪我してるとか衣装が破けるとかはないけれども。
でもこれって受け続けると、魔法力無くなっちゃうんだよね……?
ひええ、それはまずいよ!
怪我するのも嫌だけど、折角可愛い衣装だから傷つくのは嫌!
破れて裸になるなんてありえない!
だから、この状況をどうにかして切り抜けないと。
「現れよ! 勇者の剣!」
リーチは短いけど、振りが速い武器なら間合いに入ってきたら返り討ちに……。
「きゃあ!!」
ひっ!
また攻撃してきた!
今度は左腕に衝撃が走ったよ……。
「いたい!!」
ひえ、次はまた後ろからだ!
むううう……。
全然分からない……。
しかも痛くないのに条件反射で言っちゃったし……。
どうしよう。
どうしよう……。
そうだ!
この霧を晴らせばいいんじゃん!
あーーー!!!
あたし風起こしたり出来ないーーー!!!
「ひい!!」
うぐっ、今度は正面に衝撃が……。
それにしても、どうしてあたしの位置が分かるのかな。
音はたててないし、視界も霧で遮られている。
バトル漫画だと、こういう時って相手の気配を読んで攻撃するんだっけか。
ならあたしも見よう見まねで目を閉じて、意識を集中して……。
「…………」
うーん。観客のヤジは相変わらずって感じ。
それ以外は特に何も聞こえない。
はっ!
まさか、におい……?
あたし実は臭い……?
くんくん……。
くんくん……。
うーん、そんな事はなさそうだけども。
あっ!
体の動きで生じる気流とかかな!
でもさっきからじっとしてるし……。
じゃあ他に、あたしの姿が分かる方法って……。




