34-3
円形闘技場内、通路。
「…………」
この薄暗い道を抜ければ、いよいよ戦うのかぁ……。
「…………」
今回は頼りにしているエレナもセフィリアもいないんだよね。
「…………」
でも、どうして普段着で来いって言ったんだろ。
魔法少女姿の状態で行けばいいのに。
「…………」
うぅ、なんか不安。
本当に大丈夫かな?
「…………」
ええい!
闇の中へ行ったり、最高ランクの人と戦ってきたり(ほとんど見てただけだけども)したじゃない!
「よしっ!」
だから大丈夫。
きっと、おそらく……。
そう思いながら薄暗い道を歩いていき。
リングがある中央の広場へ入ろうとした瞬間。
「ここで少し待っていてください。名前を呼ばれたら入場してください」
あやや、入り口にいた兵士の人に呼び止められちゃった。
どうしたんだろ、何か準備でもしてるのかな?
「続きまして、第3試合」
お、リングの方から受付のお姉さんの声がするや。
リングガールもやってるのかな?
「突如、都に現れて百合作品という新境地で多くの人々を魅了した様相は、まるで晴天に降る雪のよう……」
えっ、なにこれ。
あたしの紹介……?
「百合を描いた彼女は、次に勝利という栄光を描けるか! それとも地に落ちた雪のごとく、儚く消えてしまうのか!」
なんかコロシアムに幻想的な音楽響いてるし、光で空から降る雪を演出している……?
な、なんなの一体……。
これじゃまるでプロレスとか総合格闘技じゃん。
世界観とまるで合わないような気がするけども、古くから見世物としての決闘は存在していたから、まぁありなのかな……?
というか、音楽はきっと生演奏なのかなと思うけど、演出ってこれ魔法だよね?
改めて、この世界の魔法すごいって思うよ!
「16歳、魔法少女ランキング17位、チャンピオンシップ初参戦!!」
そういえばずっと気になってたけど、あたしの年齢って16歳なんだ。
誕生日も分からないし、なんか有耶無耶になってたけども、なるほど。
「魔法力は、……なんと540万!!」
うわっ、本当だ。
10倍になってる。
レズバースト、すごい……。
「雪花の百合教祖、エステレラ!!!」
よし、ここで入場だね。
「ひっ」
入った瞬間、入り口の両脇が光でドーンって爆発したせいで驚いたよ……!
こういうの事前に言っておいてよー!
「うおー!!!」
「あはは……、どうも……」
観客の声援がすごい、熱を感じるってこういう事なのかも。
と、とりあえず手振っておこう……。
「白き霧と共にあり、そして消え去って行く……」
おお、今度は対戦相手の紹介だ。
リングで直接見たらわかるけど、受付のお姉さんめっちゃノリノリじゃん。
「彼女が通った軌跡には、闇さえも残らない。それは幼少の頃の誓いか、それとも復讐か!」
ひえ、なんか怖そう。
ん?
白い霧……?
相手が使う魔法に関係しているのかな。
「15歳、魔法少女ランキング76位、チャンピオンシップ最高順位ベスト16!!」
いきなりベスト16相手!
ひええ、ランキングとか関係なしに格上じゃん!!
「魔法力、133万!!」
そういえば、”魔法力の差が魔法少女の差とは限らない”みたいな事言ってたよね。
たぶん、他にも高い人が居るのに勝ち進んでいるって事は、かなり手慣れって事かな……。
「霧幻の支配者、フランシーヌ!!!」
同じように入場口の両脇が爆発して、そこから対戦相手が出てきた。
灰色のショートボブであまり表情に変化がない、変身前だからエプロンワンピースでよくある町娘の格好だね。
雰囲気もそうだけど、霧って言ってただけにぼやけているというか、不思議な感じがする子だ。
「さあ、各自魔法少女へ変身してください!」
うおっ!
受付のお姉さん……もといリングガールのお姉さんの合図で、フランシーヌが白い霧に包まれたと思ったらあっという間に魔法少女の格好になった!
ほおほお、黒いロングのワンピースに白いエプロンと、いかにもクラシックなメイド服って感じだ。
エプロンが透けている生地で出来ているのが特徴的だね。
おっと、相手の衣装を見ている場合じゃないや。
あたしも変身しなきゃ。
「目覚める白雪の純粋な思い!」
そう思うと、あたしは魔法少女に生まれ変わるという意識を強く持って……。
「えへっ、エステレラだよ☆」
ピースサインを目元にピシッとあててっと!
うん、決まった。
今日もいい感じだ、ちゃんと変身出来てる。
でも、これだけの大観衆の前だとちょっと恥ずかしいかな///
「おお! なんだあれは……」
「雪の結晶がはじけて服に変わったぞ!」
「美しい……」
「ゆきちゃんかわいー!」
そ、そっか。
変身バンクってこの世界じゃ珍しいんだっけか。
てかさりげなくゆきちゃん言われてる……。
「試合開始!」
いよいよ戦いの始まりだ……!
さあどうする!




