34-2
円形闘技場内、選手控えの個室にて。
「よっしゃ! 腕がなるな!」
エレナが張り切っている。
あの、あたしが出るんだけども……。
「うふふ、頑張って下さいね」
セフィリアも応援にかけつけてくれた。
優しい笑顔だね、良きお姉さんって感じだね。
「最初の対戦相手はフランシーヌって奴だな。セフィリア何か知ってるか?」
「はい」
おお!
相手の情報が分かるなんて!
是非聞かないと。
「フランシーヌさんのお父様が十字聖教の熱心な信者さんなので、何度かお会いした事あります」
なるほど、そういう繋がりなわけね。
「MA学園を卒業して魔法少女になったのは私達よりも少し前ですね」
ふむふむ、先輩なわけかぁ。
「ランクは確か……76とお聞きした事がありますね」
数字だけ見ると、そこまで高くないのかな?
でも油断は出来ないよねえ。
「好きな食べ物はくるみ入りのクリームシチューのパイ包みです」
ん?
好物……?
「趣味は――」
「ちょ、ちょっとまった!」
「なんでしょう?」
「あの、戦いで有利になる情報は……? 使う魔法とか、戦法とか」
「ありませんねえ、うふふ」
ええええ……。
それって、今聞いても意味ないじゃん……。
「ま、関係ねえだろ。全員倒す。それだけだ」
いやまあそうなんだけども。
それが簡単に出来れば苦労はないわけで。
「俺はちょっと他の試合みてくる」
「う、うん。お願いね」
はぁ……。
めっちゃ不安。
というか、あたし元々作家だし!
こんな戦いとか無縁なんだよ!
なのに……うぅ。
「頑張ってくださいね。ふふ」
セフィリアの手が温かい、そして顔近い。
ちょ、ちょっとどきどきしちゃうね!
それからしばらくの時が経った後。
「エステレラさん、出番です」
兵士の人が呼びに来た。
いよいよあたしが戦う時……!
もう逃げられない。
ここまで来たらやるっきゃない!
エレナの言う通りだ、相手を倒すだけだ!
負けるなあたし!
がんばれあたし!




