33-6
聖百合教本部、教祖の私室にて。
「はぁ……」
あたしは頭を抱えていた。
「まさかエレナとあんな事を……」
学園長のところへ行くから、何かあるとは思ってたよ?
あたしもホイホイ行ってしまったから、あたしのせいなのもわかるよ。
「そりゃ、結婚したけどさ! こういうのって心の準備というか、やっぱタイミングが大事なのに!」
そうなんだよおお!!!
まさか、あんな事させられるなんて!
しかもあの場所で……。
「うぅ、こんなんじゃエレナにもう会えないじゃん」
あんな事があってから、エレナの顔も見れなくなっちゃった。
何やってるんだろあたし。
「はぁ……」
このまま消えて無くなりたい……。
「はぁ……」
エレナだって、きっとそう思ってるに違いない。
「ん?」
「元気か?」
「うわああああ!!!!!!」
な、なんでエレナが!
い、い、いきなり目の前に!!!!
「おいおい、そんな驚く事か?」
いや驚くし!
しかも、またノックせず入ってきたね?
もー……。
「あ、あのさ……」
「あ? なんだ?」
ううう、やっぱり顔見れないよぉ……。
はずかしいはずかしいはずかしいっっっ~~~~~。
「まあそう恥ずかしがるなって、やっちまったもんは仕方ないだろ」
「そ、そんな軽く言わないでよ!」
「それに、俺ら夫婦だぞ? 別に珍しい事でもねえし……」
「そうだけどもー!」
いやだから、時と場合とシチュエーションが大事なわけで。
なんで分からないかなぁ……。
「ひっ」
エレナが急に迫ってきて!
顔が近い……。
「ゆき、俺の目をしっかりみろ」
「うぅ……」
「逸らすな、しっかり見るんだ」
「う、うん」
エレナの目、こっちをずっと見てる。
瞳に映ってるのは、あたし。
あたしだけを見てくれている。
…………。
…………。
「よし、いい子だ」
「はぁっ、はぁっ……」
やっぱりどきどきする!
で、でも思ってたよりは大丈夫だったかも?
というか、恥ずかしいって事よりも、あたしだけを見てくれているって事が嬉しくって。
えっと……、その……。
「どうだ? 意外となんともないだろ」
「う、うーん」
なんともないとはまた違う気がするけども。
不思議な気持ち。
なんか頭がぼうっとしてきて、なんだろうねこれ。
「エレナは強いね……、あたしこんなに動揺しまくってるのに」
「俺だってビビった。でもな」
「うん」
「ゆきとなら、そうなってもいいんじゃないかなって思ったらよ……、むしろそういう関係になったって事は誇らしいと思ってな」
「エレナ……」
そっか、そうだよね。
あたしだって、大好きなエレナとそういう事出来て嬉しいよ。
えへへ……。
また救われちゃったね。




