33-4
翌日。
聖百合教本部内、教祖の部屋にて。
朝、エレナを招いて昨日の学園長の事を話したんだけども……。
「俺、嫌だぞ」
「まあまあそんな事言わずに」
エレナは首を縦に振ってはくれなかった。
「いやだって、絶対何かあるだろ。蜘蛛の巣に飛び込む蝶々だぞ」
確かにその通りなのはわかる。
でも、このままじゃ絶対にチャンピオンシップに勝てないと思うし、あたしのもやもやしか感覚だって晴れないよ!
出るからには活躍して、魔法少女の心も掴まないと!
だからここは、一発賭けにでるしかないんだよ……。
「強くなるって大変な事だと思うんだが?」
「そ、そりゃあそうだけども!」
「俺の言えた義理じゃないけど」
「なんか言った?」
「やめとけって言ったんだよ!」
「むーむー」
エレナは頑固だ……。
うーん。
学園長にはふたりで来いって言われてるから、あたしだけじゃ駄目だろうし。
どうしよ……。
「…………」
「…………」
「はぁもう、わかったよ!」
「エレナ……」
「行くよ! 行けばいいんだろ?」
「エレナ!」
「そんな顔されちゃ、断れんだろ……」
おお!
ありがとうエレナ~!
ほんと、あたしの頼もしい旦那さまだよ!
「でもな、正直何されるか分からんぞ?」
「うん」
「セフィリアの時の人心操作術、あれ以上の事が待ってるかもしれん」
「う、うん」
「……流石に無策ではまずいよな。何かいい手を考えねえと」
「ふむふむ」
というわけで、あたしとエレナは”ある魔法”をかけた上で、学園長へ会う事になった。
MA学園。
ソフィア学園長の執務室にて。
「よく来てくださいました」
学園長はごきげんだ。
「なあ、何をするつもりだ? セフィリアのようにするんか?」
「そんな事はしませんよ。仮に人心操作術を使ったとしても、魔法力を高める効果はありませんからね」
確かにそうだよね。
でもほんと、何するんだろ?
秘密の特訓?
とっておきの修行?
それとも、薬とかでドーピング?
うーん、予想がつかない。
「じゃあ何するんだよ」
「それは……」
他に学園長がやりそうな事っていうと……。
あ、あれ。
なんか……ねむくな……ってき……た……。




