33-2
「おお! それでこそゆきだな!」
「う、うん」
エレナはごきげんだ。
こういう役割、絶対エレナの方がむいてると思うのになぁ……。
「俺も応援するから、頑張れよ!」
だからエレナが勝ち抜いて、高ランクに……って。
えっ、応援……?
あれ、エレナは……?
「ん? 俺は別に出る必要ねえだろ?」
「で、でもー!」
「ペア同士の戦いとかなら迷わず名乗り上げていたが、ひとりじゃあどうしようもないからな」
いやまあそうだけども!
ええええ……。
一気に心細くなってきたよ……。
「それに、対戦の組み合わせて俺と当たったら困るだろ?」
「そりゃそうだけど!」
「ま、今回はゆきだけでやるしかないな」
むーむー。
なんかずるいぞ!
うぅ、でもこれもひなを助けるため……。
やるしかないのかなぁ。
あれ?
なんであたしこんな熱くなってるんだろう?
そりゃ、世界を救わなきゃどんなに布教しても意味ないってのは分かるけども。
そんな正義漢キャラじゃないよ?
「じゃあエントリーはエステレラさんのみでよろしいですね!」
「はい」
「かしこまりました! チャンピオンシップは7日後になりますので、それまでに準備を整えておいてくださいねっ」
結局決まってしまった。
やるしかなさそう……。
というわけで、あたしは魔法少女チャンピオンシップへ参加する事になってしまった。
その日の昼過ぎ。
都の中の噴水広場にて。
「……というわけでした。おしまいおしまい」
あたしは宣伝活動(布教)も兼ねて、街の広場で自作のパラパラ漫画を発表していた。
内容は貴族の邸宅でやったのと同じだけど、あたしだけでも出来るように大きさは控えめで、仕掛けや魔法による演出はなく、本当にめくりながら読み上げるだけの簡単なものにしてある。
「おお!」
「なにこれ!」
「絵うごくよ! お姉ちゃんすごい!」
それでも好評で、真っ先に食いついてくれた子供たちは、目を輝かせてこちらを見ていた。
うふふ、なんか嬉しいね。
「これは凄いな」
「今まで見た事がない」
「聖百合教かー、一度見学してみようかな」
親御さんや、そのほか街の人にも好評だね!
しかも、教徒の人も増えそうな感じだ。
作家活動は順調だ。
平民の人の心も掴んでるし、貴族の人にだって感動してもらったし。
でも、街の中に居る魔法少女はこちらに見向きもしない。
やっぱし、……実力を見せないと駄目って事なのかな。




