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依頼を受けた当日。
聖百合教本部、教祖の部屋にて。
「うーん」
引き受けたはいいけども、斬新な絵ねえ……。
「うーーん」
あたし絵は好きだけど、勉強出来る方じゃなかったからなぁ。
美術の歴史とか、画家とか、技法とかよくわかんないんだよねえ……。
「うーーーん」
しかも、今回は百合本も使えなさそうだし。
ジャンル変えても、それってあの人が求めているものと違う気がするし……。
「おーっす!」
「ごきげんよう、ゆきさん」
「エレナ、セフィリア」
おや、ふたりが部屋に入ってきた。
どうしたんだろ?
「悩んでるな?」
「あらあら……」
「う、うん。中々いい案が出なくってねー」
そうなんだよ。
こんなことなら、もうちょっと勉強しておくべきだったかも……。
「俺に出来る事があれば手伝うぞ」
「ふふ、私もですよ」
「ふたりとも……」
おお、なんて優しいの!
持つべきものは夫と仲間だね!
「じゃ、じゃあ早速お願いしてもいいかな?」
「おう!」
「はい、なんでしょう?」
このまま机に向かってても時間を浪費するだけだし。
折角みんな手伝ってくれるなら……。
そんなわけであたしは、ふたりを連れてある場所へと向かった。
MA学園内、資料室にて。
「ここでこの世界の芸術に関する資料を集めてきて欲しいんだ」
「なるほど、確かに斬新な物を生み出すには、何があるのか知る必要がありますからね」
詳しくやってたら時間ないけども、せめて何があって何がないかくらいは……。
「うっし、じゃあやるか」
「うんうん」
学園卒業者も利用していいのは、正直助かったかも。
あとは、学園長だけども……。
今会ったら気まずいからなぁ。
どうにか会わないように……、会わないように。
「何をやってるのですか?」
ひっ、その声……。
あまりみたくないけど、恐る恐る振り向いてみると……。
「こんにちは、ゆきさん」
げげ、ソフィア学園長!!
やば、会っちゃったよ……。
「おーいゆき、これって使えるか見て……」
「こんにちは、エレナさん」
「学園長……」
ほら!
エレナもなんか微妙な反応してるよ!!
「ゆきさん、歴史の資料も併せてみると分かりやすいかもしれませんよ」
「こんにちは、セフィリアさん」
「あら~」
ほらほら!
セフィリアだって、あらあらって感じじゃん!!
うう、どうしよう。
何も調べず逃げる……?
でもそれやってもまともに資料が揃ってる場所、他には知らないし……。
うーんうーん。




