31-8
「……という話だ」
な、なにそれ。
国に伝わってる事と全然違うじゃん!!!
「残った3人はひなの亡骸を抱えて帰還した。国は彼女を手厚く葬ると共に、私達を英雄に祭り上げた」
話だと、魔王と戦って真実を知ってるのは勇者の仲間のみ。
だから、その仲間が人々に嘘をついて、勇者と魔王が刺し違えたってしたんだ……。
「私は英雄として崇められるのは嫌だし、ひなの居ない国に居つく理由もないからな。離れて隠居する事に決めた」
「まじか……」
「なるほど、そういう事だったのですね……」
エレナもセフィリアも呆然としているよ。
いや、あたしだってもう何かなんだか……。
「アルキメディス」
「なんだ?」
「それから学園長はひなを復活させようとして成功した。ですが最愛の人を殺された憎しみによって、今度は人々の敵になったと……」
「まあ、そんなところだな」
そんな中でも、ミカエルは冷静だった。
ほんとこの人、今の話を聞いても動じてないなんて……。
ともかく、今の話が全部本当だとしたら。
「学園長の事も気になるけど、それ以上にひなの事、放っておけないよね」
「まあ、そうだな」
「はい」
今もひなは大好きだった魔王を倒された復讐心に駆られている。
そりゃあ、恋人の命を奪われたのに許せなんて無理な話だとは思うけども……。
それってすごく辛くて苦しい事だと思うから……。
「どうするか、決まったようだな」
「うん」
「魔法少女ランクを上げて、あたしの本をもっと広めてみんなの協力を得たい」
今のあたし。
魔法少女ランクは……、掃討戦以降見てないけどもそこまで上がってないと思う。
聖百合教だっけ、勢いはすごいけどこのままじゃまだ足らない。
「それで、闇に立ち向かう準備が出来たら、ひなを救う」
ひなを救うには、全員の力が必要なんだ。
そのために、あたしがもっと強くならなといけない。
みんなをひっぱっていけるくらいに。
「こんな事、言えた義理ではないが……」
「ん?」
「ひなの事、頼むぞ」
アルキメディスの表情が何だか悲しそうに見えた。
気のせいかな。
「アルキメディス、最後のひとつ良いですか?」
「どうした?」
「ひなも百合バーストを扱えるのですか?」
「百合バーストとはなんだ?」
「同性同士が慈しみあった時に発現する、マジックバーストの上位魔法です」
「ああ、あれか。そうだな、ひなも使えたぞ」
おお!
勇者の力、同じ種類の魔法力、百合バースト。
あたしと共通点ありまくりだ!
うーん。
友達になれたら、きっと話合ったんだろうなぁ。
敵の魔王(女の子)と恋仲になっちゃうくらいだもんなぁ。
「ふむ……」
「どうした?」
「いえ、何でもありません。ありがとうございます」
「頑張れよ」
よし!
ひなを救う、そのために作家活動とか魔法少女活動頑張るって目標は出来た!
あとはそれをやるだけだね!




