30-6
扉を先、部屋の中にあった光景。
それは……。
「えっ……」
「なんじゃこりゃ!!」
あたしの背丈以上の大きさの筒状の容器に、薄緑色の液体が満たされていて。
その中には、目を閉じたまま動かないひなが居た。
しかもひい、ふう、みい……たくさん!
等間隔にずらーっと部屋中!!
「…………」
「…………」
ミカエルもセフィリアも言葉が出ない。
ただ口を開けて呆然としたままだった。
「ついに見てしまいましたね……」
あたしは学園長の方を振り返る。
今まで険しい表情だった学園長はどこか悲しそうだった。
「これはどういう事なのですか? どうしてひながこんなに?」
「いい加減話せよ学園長。もう隠し事は無しだ」
「……お話ししましょう」
そうだよ!
いったいこれってどういう事……。
「勇者が魔王との戦いで命を落としたのは、周知の事実かと思います」
「そうだな」
「私達は、勇者の死が受け入れられなかった……」
「だから、勇者の復活を試みたと……?」
「その通りです」
ふ、ふっかつ……?
そんな事出来るの?
「ここにあるのは、魔法の力によって作られた肉体です。勿論、どれも生きています」
あたしは再び透明な容器の中に入ったひなを見た。
服は着ていないし、なんか闇の中であった時と印象が少し違う気がしなくもないけども。
確かにひなそっくりなんだけど、なんかこう生きてると言われると……。
うーん、うまく言葉にできないや。
「ですが、所詮魂の宿らない器にすぎません。そして、魂を作る事は出来なかったのです」
「魔法でやってはいけない事のひとつ、人体錬成を秘密裏にやっていたと……」
「その通りです」
確かに、授業で聞いた事がある。
人間と、あとは貨幣を作ったらいけないって。
見た感じ、作って何らかのペナルティがあるわけではなさそうだから、人道的に駄目とかなのかな?
で、でも。
勇者ひなの復活かぁ……。
確かに闇と戦っている最中だし、闇の正体がひなだから本人をぶつければ解決するかもだよね。
「だから皆さんも、このことは他言無用でお願いしますね」
それにしても、学園の地下でこんなものがあったなんてねえ……。
ほんと、驚きだよ。
そりゃ、こんなの隠したいわけだね。
そう思いつつ、あたしはひとつ大きく息を吐いてその場から去ろうとした。




