30-1
即売会で学園長の気をひきつつ、あたしの身代わりをたてて。
道中でミカエルを仲間にして。
船を作って水路の奥へ向かい……。
そして勇者の力でのみ開く扉を開け、ようやくたどり着いた。
MA学園地下、通路にて。
「ね、ねえ」
「なんだ?」
「なんかここ……、じめじめしてない?」
壁に点々と等間隔にかけられた緑色の炎が灯った松明、それに照らされた壁。
歩くたびになんかねちゃねちゃするし、首筋がうっすらと湿るくらいじめっとしている。
「地下だし、水路近くだからな」
「な、なるほど」
確かにそう言われればそうなんだけども。
なんだろう、そうじゃないような。
うーん、言葉が出てこない。
「おや、あちらに扉がありますね」
そう思っている時、先頭を歩いていたミカエルは前方を指さす。
本当だ、木製の扉がある。
鍵はかかっているのかな……?
「ん? これは開いたぞ?」
「入ってみましょう」
意外とすんなり入れた。
うぅ、なんか不気味な雰囲気だし、モンスターとか幽霊とか出てきそう。
というわけであたしは、エレナの手を握りつつも開いた扉を抜けて部屋の中へと入っていった。
MA学園地下、謎の部屋にて。
「何かの資料室みたいですね」
そう言われれば、本棚にぼろぼろの本が詰まってる。
それ以外は、木製の机と椅子があるくらいで、他は特に何もないかな。
隠し通路とか、扉とか、そういうのあるかなと思っていろいろ触ったけど、特に何も起こらなかったや。
「ほとんどは古い植物や動物の図鑑ですが、これだけ表題がありませんでした」
あたしがそうやって探していると、ミカエルが本棚から縁が破れた本を持ってきた。
「なんか気になるな、ちょっと見てみようぜ」
「そうですね」
そんな警戒せず調べるなんて……。
み、みんな怖くないのかな?
う、うぅ。
気になるからそっと覗いてみよう……。
…………。
…………。
おお、あたしでも読める文字だ。
どれどれ。
”あの人と再び巡り会えるかもしれない”
な、なんじゃこりゃ?
どういう意味……。




