29-10
道なき水路の奥にあった、横脇の通路を進んでいくあたしたち。
「…………」
通路はせまく、人がひとり通れるくらいの横幅しかない。
先頭からミカエル、エレナ、あたし、セフィリアの順に進んでいってるわけだけども。
「……おい」
「な、なに?」
「あんまりくっつくなよ。歩きにくいだろ?」
うわあ!
あたしも知らない間にエレナの背中にくっついてた!
「ご、ごめん」
そうだよね、歩きにくいよね。
でもやっぱ怖いよここ……。
「いや、別にいいんだけどな……」
「ん? 何か言ったー?」
「な、何でもねえよ/// さっさと進むぞ」
「うふふ」
な、なんでそんな怒ってるの、もう……。
セフィリアは笑ってるし……。
そんな感じで、あたしたちはさらに奥へと進んでいき。
その結果……。
「行き止まりだな」
目の前には魔法の光で照らされた、薄緑色の壁が見える。
他に脇道は無かったし、扉も無い。
ついに道は途絶えてしまった。
「ほら、魔法で照らされている」
「という事は、ここには人の往来が……?」
確かにこの光、ミカエルが魔法力で作った物じゃない。
行き止まりになってる壁の脇に、緑色の炎の松明がある。
という事は、松明を管理している人がここにはいるってこと?
何もない、行き止まりなのに?
「だけど鍵らしきものもない」
「扉もねえな、仕掛けがあるのか?」
「あらあら……」
確かに壁はつるつるで何か隠されている感じもない。
他にもしかけっぽそうなものもなさそうだし。
じゃあこの松明は何のため……?
…………。
…………。
あっ!
もしかしてこれって!
「ちょっとあたしに触らせて!」
こういう場所、過去にあったよ!
だったら、あの時と同じように……。
そう思いつつ、少し窮屈な思いをしながら扉に手を触れると……。
「うお、開いた!」
「なるほど、特定の魔法力に反応するわけですね」
ほらやっぱり!
勇者の力で開く扉!
学園の地下に入った時と同じやつだった!
「勇者の力で開く扉、どうなるか不安だったが案外当たりかもな」
そうだよ!
こんな仕掛けがあるのって、MA学園くらいしかないもん!
つまり、あたしたちも知らない間に学園の地下に入れたって事だね!




