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29-9

 ミカエルの力によって船を作り、道なき水路のさらに奥へ向かっていく。


「長いな……」

「暗いからそう感じるのもしれません」

 エレナの言う通り、確かに長い気がする。

 こんなに広かったっけ?

 もう学園についてもいいような。


 そう思っていた時。


「何か音、聞こえませんか?」

 ん?

 セフィリアどうしたの?

 音……?


 あたしは耳を澄まして聞いてみた。


 …………。

 …………。


 確かに音が聞こえる。

 なんだろうこれ、水の音……?

 しかも水路に流れる音とは別の……?


「……これは、水が落ちる音ですね」

 ってことは!

 この先は滝みたいになってる!


「お、おい!」

「流れが強くなる前に引き返しましょう」

 このままじゃ落下して、水路の藻屑になっちゃう!

 闇の中もそうだけど、こんな暗い場所で死ぬのは嫌だよー!

 はやく、オールを逆の方向に漕いで……。


 ん?

 あれって。


「ねえ! あそこ!」

 横脇の壁に船をとめる事が出来そうな場所と、別の道が!


「あそこへ行きましょう」

 このまま行っても駄目だし、引き返しても何も得るものがない。

 ならどこへ通じているか分からないけれど、行ってみるしかないよね!


 そう思い、あたしは全力で船を漕いだ。

 その結果、どうにか横脇の壁にとまる事出来たので、あたしは船から乗り移った。



「にしてもここ、どこだろうな」

「水路は途中曲がっていたような感じもしましたので、距離感が掴めないですね」

 エレナやミカエルの言う通り、本当にここはどこなんだろう。


 それにしても、てっきり入り口に鍵があったから何か秘密でもあるのかなって思ったけど……。

 単純に危ないから入らないようにしてただけだったんだね。

 なんか期待外れというか、残念というか……。


 そんな風に考えつつ、あたしは全員が船から降りたのを見守ると、横脇の道を恐る恐る歩いていった。



 …………。

 …………。

 …………。

 …………。


 不思議な事に、横脇の道は道中みたいな蜘蛛の巣が張ってるとか、ほこりっぽいとかそういうのがなかった。

 それどころか、意外にもごみが少なく綺麗だった。

 単純にこんな場所誰も来ないし、光も届かないから生き物も寄り付かないとかなのかも。


 …………。

 …………。

 …………。

 …………。


 でも、なんかこう妙な静けさというか。

 背中がぞくぞくする感じというか。

 嫌な感じ……。

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