29-7
「ひえっ」
後ろから声が!
だ、だれ!
「何をそんなに驚いているのですか?」
「ミカエル!」
な、なんだ。
ミカエルだったのね……。
あれ、なんでここに居るんだろ。
見回りかな?
「こんな場所で集まって、一体何をしているのです?」
「実はね――」
まあ、ミカエルになら言ってもいいかな。
下手に誤魔化して不審者扱いされるのも嫌だからね。
そう思い、あたしは今回の計画を伝えた。
「――なの」
「そうでしたか」
「うん」
「私も気になりますので、同行します」
「いや、お前のような派手な奴連れてくのは目立つんだよ。それに今回必要なのは魔法力じゃなくて、こういう鍵を開けられる能力でな――」
「大丈夫ですよ、ほら」
「まじか……」
あれ?
エレナも壊せなかった水路の鍵が外れてる!
強引に壊した感じでもなさそうだし、ミカエルって解錠の魔法とか使えた……?
「さあ、参りましょう」
ま、まあ頼もしい人が仲間になったからいいのかな?
気を取り直して、水路の奥へ入ろう。
そんなわけで、あたしたちは魔法少女姿に変身すると、ミカエルを加えて水路へと入った。
都内、MA学園へと通じる水路にて。
あたしたちは、ミカエルの放った光の魔法で辺りを照らしながら進んでいく。
「足元気をつけてくださいね」
「そうだな」
誰も使ってないせいか、歩いていたら滑りそうになる……。
こんなところでこけて水路に落ちたら大変なことになっちゃうから、気をつけないと。
ん?
なんか顔がもぞもぞする?
なんだろ……。
「げっ! ひいいいい!!!!」
「ど、どうした!」
いやあああ!!!
やっぱもぞもぞしてる!!
ひーー!!
「なんだよ、ただの虫じゃねえか」
「うう、気がついたら顔についてたんだもん……」
「ほらよ、これでいいか?」
「うん……、ごめん」
あたしがパニックになっても、エレナは冷静に虫をとって払ってくれた。
やっぱイケメンだ。
男の人だったら即惚れ……、いやむしろ女の人だからいいのかな?
おっと、今はそんな事を考えている時ではないよね。
とまぁ、そんな感じでさらに奥へと道なりに進んでいき……。
「道がここで切れているな」
石造りの道は切れていて、あとは水の流れる道しかない。
あれ?
ここで終点なのかな?
「でもまだ先がありそうですね」
確かに、完全に行き止まりってわけではなくって、飛ぶか船があればいけそうな感じだけども。
「ねえ、こっちに扉あるよ?」
なんだろう。
前世にあった、高速道路のトンネルの非常通路みたいな感じで、壁が部分的にくぼんでいてそこに鉄の扉がある。
「とりあえずはそちらへ行ってみましょうか」
「うん」
しかも、その扉は鍵とか一切なく、すんなり開いてしまった。
あたしはエレナの手を握りつつ、ゆっくりとその中へと入っていく……。




