28-14
「お、おい。どういう事だよ!」
「異世界……転生?」
まあ、そうなっちゃうよね。
あたしの世界のフィクション内での話なんて、分からないもんね。
「ごめんエレナ、セフィリア。ずっと黙ってた事があるの」
「なんだよ……」
「あら……」
「あたしは元々こことは違う世界で生きてた。でもどういうわけかこの世界に生まれ変わった」
いや、まあ別にわざと嘘ついてたわけじゃないけども。
なんかこう、話すタイミングが無かったというかなんというか。
「死する魂は天へとの昇り、地上で犯した罪を濯がれた後に、やがて新たな命として地へ戻る」
「な、なんだそりゃ……」
「よくある宗教観のひとつですよ。まさか本当だったのですね」
そういえばセフィリアは司祭?司教?
なんか偉い人の娘だっけか。
呆気に取られているエレナとは逆に、かなり飲みこみが早い感じだね。
「ゆきさんが嘘をつくなんて考えられませんので全部真実なのでしょう。闇の核の魔法少女ひなとゆきさんが、元々同じ世界の住人だった」
「う、うん」
いやぁ、本当驚きだよ。
だからかな、あたしが勇者の力を使えるのって。
同じ世界からの転生者だから、同じ能力があるとか?
「教えてください」
「なあに?」
「私達を襲わないのですか?」
「ゆきはまだ何も知らないから、知ればきっと分かってくれるもの。だから何もしないよ」
うーん。
なんか意味深。
でもここで襲われたら一発アウトだから、正直助かったってのはある……。
まさか敵に助けられるなんてねえ。
「知る……? それはどういう事なのです? 世界を闇に包んで、何を成そうとしているのですか?」
「それはね……」
って和やかムードしてる場合じゃないよ!
そ、そうだった。
この子は闇を生み出している張本人なんだよ!
でもセフィリアの言う通り、どうして闇で飲みこもうとするんだろう?
「この世界が許せなかったから」
ひなの顔が暗く冷たい状態に戻り、瞳の輝きも消えた。
なんかものすごく物騒な事言ってる。
何があったの……。
「……もうそろそろ終わりだね」
「待って! まだ何も……!」
「ソフィア、セレライン、アルキメディス、もしも彼女らに会う事があったら伝えておいて、私はお前たちに必ず復讐するって……」
ひなはそう言い残すと、闇の核の中へすうっと入り消えてしまった。
それと同時に周囲は闇に包まれ、あたしの目の前は真っ暗になった。




