28-13
あたしは大きく前へと跳躍して、敵の魔法少女との距離を一気に詰めていく。
そして勇者の剣を大きく振りかぶり、全体重を乗せて振り下ろした!!
…………。
…………。
…………。
…………。
「お……?」
「あら……?」
みんなが驚いている。
実際に見なくたってわかる。
でも……。
でも……!!
あたしがいちばん驚いてるよ!!
だって。
だって……。
「き、効いてる……?」
勇者の剣で斬られた魔法少女は、その場で崩れ落ちるように倒れちゃった。
てっきり返り討ちにあうと思ってたのに!
な、な、なんで?
あたしなにかやっちゃった?
って何もしてないよ!!
こんな都合のいい展開あり……?
と思ったけども……。
「う、うわあっ!」
ひっ、なんかいきなりすすすっと立ち上がったし!!!
な、なんなの!
ぬか喜びさせないでよ!!
「私の力……」
うわあ、しかも今まで無言だったのに急に喋りだした!!
ど、どうしちゃったの。
そしてどうなっちゃうの一体。
「私の名前はひな、あなたの名前は?」
しかもいきなり自己紹介してきたよ……!
今までハイライトの無かった目に光も戻ってるし、表情がすごい優しい感じになってる。
な、なんなの。
「あたしはゆき。後ろにふたりはつり目の方がエレナで、髪の長い方がセフィリアだよ」
って思わずあたしも名乗っちゃったけども。
いや、今あたしたち戦っているんだよね……?
なんかもう、超展開すぎて理解追いつけない。
ん?
ちょっとまって。
ひな?
この世界って洋風な名前なのに、なんか和名っぽい……?
「ゆき、あなたは私と同じなんだね」
「えっと、じゃあもしかして……?」
「うん、私も別の世界から来たの。たぶんあなたと同じ」
ええええええええ!!!
まさかの異世界転生者!!
過去の勇者が、あたしと同じ国の出身だった!
な、なんという偶然。
こんな事ってある……?




