28-12
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光と衝撃はゆっくりとおさまっていき、周囲の景色が見えていく。
あまりにも凄まじい衝撃だったせいか、あたしたちが居る本来なら暗闇になるはずの場所は、明るさを保ったままだ。
ど、どうだ!
みんなの力だぞ!!
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あたしの思い、エレナの願い、セフィリアの祈り。
みんなの気持ちをぶつけた一撃は……。
「な、なにい!」
「うそ……」
「そんな……」
闇の核と闇の魔法少女には効かなかった。
エレナがさっき攻撃した時のような誘爆は無かったけども、どちらも無傷だよ。
さっきの攻撃でも駄目だったなんて……。
「す、すまねえ。俺が無力なせいで」
「ううん、エレナのせいじゃないよ」
あんなに強気で負けん気の強いエレナが肩を落としている。
やめてよ!!
そんなエレナ見たくない!!!
「ごめんなさい、私がもっと強ければ……」
「ううん、セフィリアが悪いんじゃないし、十分強いよ」
いつも穏やかな笑顔で温かい雰囲気を出しているセフィリアの目が潤んでいる。
いやだよ!!
セフィリアが泣くところなんて見たくない!!!
ふたりとも、そんな顔しないで……。
お願いだから、諦めないで……。
でも、もう策は無いんだよね。
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何か、何かいい方法……。
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あっ、ひとつだけ。
あったかも。
「ゆき……?」
「ゆきさん」
もうこの方法しか無い。
ふたりの悲しむ姿なんて見たくない。
だったらもう……、もう!!!
あたしは手に意識を集中させ、勇者の剣を生成する。
そして、ゆっくりと闇の核の魔法少女へと向かっていく。
「あたしがあいつを引き付けるから! だからふたりとも走って!!」
「ゆき!!!」
「ゆきさん!!!!」
「やああああ!!!!」
今は1秒でもいい!
敵の気を逸らして、その隙にふたりは逃げて!!
ここで逃げなきゃ全滅しちゃう。
でも3人で逃げる事は出来ない。
だったらせめて、エレナとセフィリアだけでも!!
「馬鹿野郎!! 死ぬ気か!!!」
「待って! お願いー!!」
敵と距離がだんだん近づいていく。
相手はあたしの方を見ている。
作戦は成功だ、あとはふたりがここから逃げてくれれば……。
今あたし、圧倒的な相手に向かっていってる。
あたしなんて、そんな勇気とか無いはずなのにどうしてだろうね。
はぁ……。
せめて最後にエレナのウエディングドレス姿、見たかったなあ……。




