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「駄目だな、ありゃ本当に聞こえてねえ」
えぇ……。
いつもならこんな態度取られたら真っ先に食い掛りそうなのに、諦めている。
それでもだよ!
なんなの!
「仕方ありませんね……。とりあえずはついて行きましょう」
「そんな! でもっ!!」
「ゆきさん、堪えてください」
「救えたのに死んじゃったんだよ! 何であんな人殺しなんかに!!」
あたしが力を使えば、あの闇は人間に戻ってた!
行方不明だった人が1人でも帰ってくる!
その人が元の生活に戻れるだけじゃない、その人を待ってる人も喜ぶ!!
それを全部、あの廃人たちは奪ったんだよ?
あの人たちは間違っている!
だったらどうして、そんな人らについて行かないといけないの?
弔いもしないし、まるで蟻を踏むくらいの感覚で人の命を!!!
「多分……、いやまず間違いなく私達がはぐれても、あの方々は私達を助けないでしょう」
「そ、そうだとしても!」
「今はあの方々に頼るしかないのです」
セフィリアはお人好しすぎるよ!!
こんなのありえない!
こうなったら戻って魔法少女ギルドに訴えて……。
「だからどうか……、どうか……!」
セフィリアの手が、震えている?
表情はいつも通り穏やかなのに……。
あたしに我慢しろって事なの?
「うん……、わかったよ」
「分かっていただきありがとうございます」
わかったよ。
確かにここではぐれちゃったら、あたしたちも無事じゃすまない。
それで闇に取り込まれたら、あんな心無い連中にやっつけられちゃうかもしれない。
そんなの許せないよね。
あたしは、大きく息を吸ってはくと、廃人チームの後を追った。
それからしばらく歩いた後。
「ここか」
「ここだな」
「まぁ、割と早く着いたな」
ついに到着してしまった。
闇を生み出す核のある場所……。
なんかこう、人ひとりが入るくらいの大きさの真っ黒な球体が宙に浮いてて、太陽の日蝕ように輪郭からもやもやと闇が揺らめいでる。
うぅ。
なんか背筋がぞくぞくしてきた。
やな雰囲気……。




