28-3
闇の中にある森を歩いていたあたしたちは……。
「あれは!」
げげ、人型の闇!
危険度ランクB以上!
くまさんに会うよりやばいよ!
「エレナ、お願いがあるの」
「……やるのか」
「うん。それしかないよ」
リゼットすら手こずった相手だもの、ここはあたしがどうにかするしかない。
なるほど、あたしたちが選ばれたのはやっぱりそういう事だったんだね。
一緒に踊るのは無理だけども、今のあたしなら……!
そう思いつつ、あたしは人型の闇へキスしようと向かった時。
「えっ……」
廃人チームのひとりが、一瞬のうちに倒してしまった。
闇はあっという間に砕け散り、何事も無かったかのような静けさに戻った。
「で、このまま先に進むとだけど――」
「そこはこうやったほうが――」
しかも!
廃人チームのメンバーはまるでその事を気にも留めず、さっきまでしていた話を始めたよ!
ランク10代のリゼットが手も足も出なかった相手を、あんな簡単に倒せるなんて。
それはすごいんだけど……。
「ちょ、ちょっと! 待ってよ!」
あたしがキスしたら人間になって戻るのに!
ああやってやっつけちゃったら、もう戻らないって事だよね?
死んじゃったって事だよね?
あたしの能力、廃人チームなら知っててもおかしくないはず。
なのに!
折角救えたのにそれを無視するなんて。
そんなの納得いかないよ!
「なんですか?」
うっ、すごい冷たい視線。
なにそれ、なんかあたしが悪いみたいな感じだよ……。
思わず怯んじゃったよ……。
「あ、あの、あたし……」
「こいつは闇になった奴を元に戻せる力があるんだ。次からは俺達に任せてくれないか?」
あぁ、エレナ~!
代わりに言ってくれた!
ありがとう……、助かるう……。
「いや、効率悪いじゃない」
「だなー」
「それで話は戻るけど、このルートは――」
な、なにこの人ら……。
一言返しただけなんて……。
「お、おい! ちょっと待てよ!!」
「あらあら、無視されてしまいましたねえ」
これって、もしかして。
あたしたち、仲間と思われていない?
眼中にない……?




