26-11
「許さないいいいい!!!!」
ひー!
ゆるしておねがいーー!!
も、もうだめっっ!!!
…………。
…………。
…………。
「ぐぐっ」
あ、あれ?
闇の動きが止まった……?
「ぎりぎり間に合いましたね」
背後から聞こえるこの声、もしかして……。
「セフィリア!!」
おおお!
まさかセフィリアが来てくれるなんて!
「そちらの方の魔法力を回復しました。さあ今のうちに!」
「う、うん」
なるほど、セフィリアって確か魔法力を回復できる魔法が使えたんだっけか。
それでランク41の人を補助したわけだね。
……今は冷静に分析している場合じゃないや。
折角作ってくれたチャンスだし、今度こそ!
あたしは意を決して、闇の頬を両手で軽く優しく持つと、口づけを交わす。
…………。
…………。
…………。
…………。
そしてしばらく経った後に、ゆっくりと離れた。
「ふう……」
さあ、あたしがキスしたぞ。
これでどうなるかな?
元に戻ってくれればいいんだけども……。
そんな思いが通じたのか。
闇は足元からゆっくりと崩れていき、その破片は舞散り光へと変わり……。
「おお!」
「すごい……」
「うふふ」
そして、光が集まると元の魔法少女の姿に戻った。
やった!
作戦成功だね!
「大丈夫か!」
「…………」
元に戻った魔法少女は、どこか遠い目をしたまま呼びかけにも反応がない。
前の人は泣き出したし、そこは個人差なのかな?
「みんな、本当にありがとう。この恩は必ず返す」
「う、うん」
そんな大げさな。
まあでも、戻って良かったね。
「さあ、街に戻ろう」
「……うん」
ランク41の人は肩を貸すと、元に戻った魔法少女を連れて街の方へと歩いていった。
反応は相変わらず薄かったけど、なんとか歩けているみたいだし、大丈夫そうかな。
「終わったなー」
「うんうん」
この場所にあたしとエレナ、セフィリアだけになると、エレナは杖をしまって鼻を鳴らした。
「にしてもセフィリア、本当に助かったぜ」
「ちょっと嫌な予感がしたので、エレナさんのお子様は商人ギルドの人に任せてきたんです」
「それが当たったわけか。相変わらずすげえな」
「うふふ。実際は間一髪でしたけどね」
いやぁ、本当にそうだよ。
あそこでセフィリアが来なかったら、あたしは間違いなくやられてた。
本当、命の恩人だね。




