26-10
「よーし! いくぞ!!」
そういうとエレナはあたしから離れていき、杖を構える。
うーん、もうちょっとくっついていても良かったかも……。
「うおおお!! こっちを向け!!!」
エレナは杖から無数の火の玉や光の玉を発射し、闇へと放った。
闇は避ける事も防ぐ事もせず、全弾もろに受けてしまう。
着弾と共に爆ぜたエレナの魔法は、周囲に轟音と白煙をまき散らし、一瞬闇はそれに隠れて見えなくなってしまうが……。
「許さない!!!」
まるで何事もなかったかのように、両手をあげてエレナの方へと襲い掛かってきた。
やっぱり効いてないよ!
「ちょろいな。あとは頼む!」
「ああ」
でも、エレナの魔法で倒す事が目的じゃない。
あくまで気をひけばいいだけ。
闇はあたしの方なんか見向きもせず、エレナへと突っ込んでいった。
その隙を狙い、ランク41の人が闇に向かって手をかざす。
すると、地面から再び蔓のようなものが伸びて、闇を絡めとってしまった!
「ぐぐっ! 離せええ!!」
やったねっ、作戦成功だよ!
「ゆき! 今だ!!」
そうだ。
エレナやランク41の人が必死になって戦っているから、あたしも頑張らないと!
あたしは再び闇へと歩み寄っていく。
…………。
…………。
ゆっくり、ゆっくりと。
相手に警戒心を持たれないようにして。
ひっ、こっちに気づいた!
「ぐるるる……」
で、でも負けないぞ!
闇が狼のような唸り声をあげていても、めっちゃ睨んでも、元々はあたしと同じ魔法少女だったんだ。
だからもう何も怖くない!
なんか死亡フラグっぽいけど、細かい事は気にしない!!
そう思いつつ、ゆっくりと迫っていき。
よ、よし!
射程内になったぞ!
こ、怖がるなあたし。
ゆっくりと、相手の肩に手を置いて、顔を近づけて……。
「ぐっ、魔法力切れか……!」
えええええ!!!
う、うそ、拘束がきれていく……。
闇が、動き出すっ!!
やっぱり死亡フラグたってた……?




