26-9
「ぐ、ぐぐぐぐううっっ……」
闇は必死にもがいて絡まっている蔓から抜け出そうとしている。
今がチャンス!!
「…………」
なんかこう、”あたしはあなたの敵じゃありません”ってのを意識しつつ、ゆっくり近づいていって……。
「ギロリ」
ひっ、こっち向いた!
ものすごい睨んでる……!
で、でも負けないぞ!!
あたしは悪者じゃないよーっと……。
だから怖がらなくていいよーっと……。
怯える動物に近づくようにゆっくり、ゆっくり。
…………。
…………。
よし!
あと少し……!
…………。
…………。
や、やった!
射程距離内だ!!
これなら十分キス出来るぞー!
よし、ここで口づけをすれば万時解決……!
「じーーーー」
う、そんな見ないで~~。
し辛いよ~~!
「ふんっ! ふんっ!!」
なんかめっちゃ鼻息荒いし!!
あたしの顔にかかってるよ!
な、なに興奮してるの……。
ううううっ!
こ、こんなんじゃキス出来ないよー!
「も、もうもたない……!」
ひっ!
あ、ちょっと!!
まずい!!
「許さない!!! 許さないいいい!!!!」
げげっ!
拘束解けた!!
まずい!
襲われる……!
うううっ!
…………。
…………。
…………。
…………。
あ、あれ?
あたし生きてる?
「ったく、びびってんじゃねえぞ」
おわあ!
エレナが助けてくれたんだね!
「ご、ごめん」
でも、これって。
エレナがあたしにくっついている……?
「は、離れろよ!! 俺にくっついている場合じゃないだろ///」
「ごめんっっっ!!」
そうだった、今はその時じゃないよね。
それにしても、やっぱりエレナ赤くなってる。
可愛いなあもう!
「仲がいいのね」
「なあ、もう1回出来るか?」
「……私の魔法力で、あの相手を拘束するとなるとあと1回よ」
「わかった」
なんか途中会話スルーされたような気がするけども。
ともかく、あと1回……。
次こそはどうにか成功させないと。




