26-7
「じゃあなんてゆきの嫌がる事したんだよ……、わけわかんねえ」
ほんとそうだよ!
前に闇に飲みこまれた人は、あたしの事が好きすぎたんだっけ?
そう考えると動機は同じだけども。
うーん、やっぱ分からない。
「学生時代、グランドリリィのミカエルを打ち破り、魔法少女となってからも宗教家として成功し、さらに先の依頼で闇からの生還を果たした。今や時の人だ」
そこは作家じゃなくて、宗教家なんだ……。
って突っ込みは今は入れないでおこう。
「もう並の魔法少女では近づけない存在なんだ」
いや別にそんなつもりないし。
元々あたしってそんな人と話すの得意じゃないし、前世だと浮いてて話しかけてくれたの数える程だったし……。
だから、特別ここでも友達増やそうなんて思ってなかった。
作家活動出来れば満足だった。
だけど、逆に近寄り難い感じがしたのかな?
うーん。
「学生時代から、ゆきの事が好きだったからな。最初はランキングも近くて身近な存在だったのが、やがて自分から離れていくのが怖かった」
「で、あんな事をしたのか?」
「そうだ」
「めんどくさいな……」
「そう言うな」
つまりそれって、男子が気になる女の子のスカートをめくったりするやつだよね?
う、うーん。
なんかつっぱってた感じして悪そうなイメージだったけど、意外と可愛い性格かも。
「だから頼む、彼女を助けてくれ。私の友人を救ってくれ」
そ、そんな頭さげなくてもっ……。
うーん、やるしかない……かな。
「ゆきと俺がいれば大丈夫だよな?」
「う、うん。救ってみせるよ」
「ありがとう」
「それで、何かいい方法あるの?」
救うって約束したけれど、何かいい方法あるのかな?
エレナは妙に自信満々だけども……。
「あるといえば、あるが……」
でもどこか歯切れが悪いような。
…………。
…………。
ああっ!
ひらめいた!!
「あたしがキスする……?」
「ああ」
やっぱり。
まあそうだよね。
上手くキス出来たら、元の姿に戻るみたいだからねえ。
でも。
「許さない……! 許さない……!」
前はあたしを押し倒そうとしてたけど、今回は殺す的な意味でやる気満々じゃん!!
これキスしろって言うの中々難しいような。
「もしかして、心配してる?」
「それ”も”ある」
「”も”ってなんだろう?」
「そりゃお前……」
「???」
「あのな……」
「???」
「お、お、俺の嫁……、だからな……///」
も、も、もしかして。
エレナ照れてる……?
「ば、ばかっ! 俺らは動きとめる!! ゆきはどうにかキスしろよ!!」
「は、はい」
やっぱし照れてるじゃん!
可愛いなあ!!
って悶えている場合じゃないや、この状況どうにかしないとだよね。




